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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士



絶望と痛みという感情の中へ落ちていく心

それでもシャルゼはクライヴに見向きもせず、鬼神が送り込んだ赤い蝶を手の平にのせ、吸収したアークの魔力の塊を食わせていた

魔力を食っていく蝶は巨大になり
自然に骸骨のようなモノを頭部につくりだし、人の骨だけの上半身と蝶が一体となったような化け物へと姿を変えていく


「――――ここまで成長すれば上出来だな」

満足そうに蝶を観るシャルゼ

だが、クライヴは歯を食いしばりながら、腕の修復に集中し、シャルゼを疑うような目でみていた

「喜べ、我が息子よ
お前はこれから完全な闇へ生まれ変わる」

「っ・・何を言っているのですか・・」

「お前にチャンスをやろうと言っているのだ」

シャルゼは新たに闇の剣を出現させ、クライヴの目の前に転がした

禍々しい闇はこれまでのシャルゼの闇とは比べ物にならない程、強力で
見ているだけでも危険だと本能的に判断できた

「この剣で・・何をしようというのですか?!」
「その剣を取り、見事闇を制御できれば、闇の騎士を返し、この女も自由にしてやる」
「?!」
「もしできなければ、それは構わん
どのみち、お前は変わることができる」
「っ・・どういう意味ですか、変われるとは?」

警戒しながら、クライヴは闇を放つ漆黒の剣へ近づく
シャルゼから答えがだされなくとも、選択肢は一つしかなかったのだ


「その剣に触れては駄目よ、クライヴ!」
「!」

叫ぶように必死に止めたのは、ミレイアだった
その背後に巨大な赤い蝶が口を大きく開け
すぐにでもミレイアを食えるようにして止まっている

ミレイアには見えていないのだろ
身動きは出来ないが、自分が置かれている現状より、クライヴの心配をしているのだから

だからこそ、クライヴは
もう失いたくない―――――
そう、心でつぶやき、黙って剣に触れ、しっかりと握った

触れた瞬間から痺れる電撃のような痛みが全身を駆け巡る

さらに強く握り、闇を抑制するために意識を剣へ集中させたことで
更に闇の狂気が意識の中へ入りこみ、脳の奥から破裂するような激痛が走った

「っ・・ぐ・・!」

意識を集中させ、どうにかしてでも闇を抑制し、彼女だけでも守りたいと思った
吹き荒れる瘴気に心が飲み込まれそうになり、意識が朦朧としてくる
視界はぼやけ、一瞬、クライヴは視界が真っ暗になった


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