• テキストサイズ

IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士



闇の騎士とシャルゼはそれほどの関係であり、思い入れや情など一切なかった
そしてクライヴを守るという使命を邪魔する者は
何者でも敵であると認識する

だからこそ、サルナスはシャルゼへ確実な敵意を現す表情をむけていた


「クライヴ・・様・・」

声は掠れ、それでもサルナスは必死に伝えようとした

「お・・にげくだ・・さい・・」
「?!」
「あの・・神を前に・・われ・・われでは・・どうにも・・」
「サルナス・・!」

クライヴはサルナスの声を聞き取り、すぐにでも魔力を分け与え、傷を癒すために治癒力を高めようとした


「ゲート・監獄へ」

「!」


シャルゼの一言に、サルナスは過敏に反応し、クライヴを力いっぱい突き放した
「?!」
クライヴが離れた瞬間
サルナス、ラルゼ、アークの足元に巨大な闇の渦が出現し、その中から鎖が無数に吐き出た

「鬼神よ、奴らを縛り上げ、落とせ」



『―――――御意』

シャルゼの命令に、闇の中から低く、重い声が響き渡った

「父上!
一体何を?!」

「見てわかるだろう
奴らは私に反逆した罪がある
よって、監獄へ送り込む」
「あいつらは関係ありません!
落とすなら俺を落とせばいい!」

クライヴは必死にシャルゼへ監獄へ送ることを止めるよう促すが
見向きもせず、更に鬼神へ命令する

「あの蝶を一体、ここへ飛ばし、あの魔力を食え」
『畏まりました――――ただいますぐに。』

闇の渦の中に埋もれていくサルナスと入れ違いのように這い上がってきたのは
小さな、赤い蝶だった


「くっ・・!
サルナス!」

「クライヴ・・様・・」

クライヴが手を差し伸べ、闇の渦の中へ落ちていくサルナスを掴む
だが、渦は瞬く間に獣の牙を模した形へ変形してゆき
監獄へつながるゲートが閉じるの当時に
クライヴの腕を一瞬にしてかみ砕く

砕かれた腕からは血が大量に吹き出し
切断された腕は宙を舞いながら飛んでいく


「っ・・あがあああぁぁ!!」

ゲートは完全に閉じられ、その場に残されたクライヴの声は
闇の騎士達に届くことなく、孤高に響いた


噛み千切られた右腕を抑えながら、クライヴは消え去った闇の騎士たちがいた場所へ目をむける
だが、そこには闇の騎士の吐血した血痕しか残っておらず
絶望が心の底から湧き上がってくるのを感じた

「あ・・ああぁぁ」

/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp