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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士


「なに!?」

武器が見えないサルナス、ラルザにとって突然アークが仰向けになって倒れてみえた

その額からは血ではなく、青黒いアークの魔力が煙のように漏れていた

「アーク?」

眼を見開き、身動き一つしないアーク
ラルザはすぐに心臓部分に耳をあて、鼓動と息をしていることを確認する
胸部から聞こえるのは確かにアークの鼓動

だが、凍ったように息はせず、体も硬直し、不自然な状況だった


「っ!
神よ、アークに一体何をなされたのです⁈」

サルナスは僅かな敵意をシャルゼへ向け、武器をいつでも取り出せる体勢へうつる

「その魔術師の魔力を使用しているだけだ
アレを呼び出すには私以外の供物となる魔力が必要であるが・・
サルナス、その手から武器を取り出せば貴様は反逆者として
監獄へ生きたまま送るぞ?」

「くっ・・!」

シャルゼとサルナスが睨み合っている中
クライヴはアークの額を貫いている槍が確かに見えていた
その槍は水を吸う根のように、アークの脳へ黒い根を張り巡らせ
勢いよく魔力を吸い取っていく

体から魔力だけを抜き取られたショックと
槍の術により、アークは失神状態になり
辛うじて息はしている状態である

状況は理解できても、現状を打破させる力はクライヴになかった
無闇に槍に触れれば、闇の瘴気にあたり、心が壊れる

選択肢がない状態でそれでも
どうにかしようと考えるクライヴ
時間刻々と流れ、アークの体も死体のように冷たくなっていく

抜き取られた魔力はシャルゼの頭上で渦になって固まり
稲妻が発せられている
明らかに危険なモノを召喚しようとしていることがわかる

「っ!」
歯を食いしばりながら、クライヴは決断した

己が闇の瘴気に触れ、壊れるということをーーーー。

アークの前に駆け寄るクライヴは己だけが見える槍を手に取り
無理矢理引き抜こうと力をこめていく

闇の瘴気が灼熱のように熱く、手のひらに伝わり
手袋は溶け、皮膚も赤く炎症を起こす

「クライヴ様?!」

武器が見えないサルナスとラルザにとって、クライヴが何をしているのか理解できなかった
何かを引き抜くようにして
アークの前で物を握りしめ、その手は火傷で傷を負い、自己治癒も同時に発動しているため、黒い煙を発している
「くっ・・あああっ!」
瘴気が体内に流れ込み、目眩を起こしながら
それでも槍を引き抜こうとする
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