第2章 風を司る者
「大丈夫だ、エア。
俺達がお前の夢を叶えるよ」
「ーーーーうん、あり・・がとう」
完全に力を失い、グッタリするエア
エアの魂と同時に黒く染まった魔力が吹き出た
「我の声に従い、かの夢を送り届けたまえ。
風印・〈ノヴァスカーレッド〉」
ヒルトはエアの魔力に手を触れ、インドリームの力を注いだ
黒く汚染されたエアの魔力はヒルトから放たれる風によって瞬く間に清められていく
風にのり、闇は消え去り、エアの魔力は魂と完全に結びつき、天へ誘われた
「これが・・インドリームの力」
「ああ、闇に染まり、悪夢と化した夢と魂を清め、天へ送り届け、新たな生を受けて生まれ変わったとしても、清い夢を持つことが出来るようにする力。
人は夢と魂と魔力で生きているからな、その夢が黒く染まれば、全てが闇に変わる・・。」
「世界が闇に飲まれない為の力とも言われるのが、わかります」
ヒルトとユリエフは話終え、灰となって消えていくエアの体を見送り、洞窟を後にした
洞窟を来た道と同じ方へ進むと、入り口で待っていたクライヴがいた
「クライヴ、無事でよかった」
「ああ、御前達も、終わったようだな」
「はい、ヒルト君とクライヴ君のお陰で
無事でいられました。」
「そういうけど、ユリエフだって中々強かったぞ?」
「そんなっ・・私なんてまだまだですよ!」
「お見事ですわ」
「!?」
ヒルト達の前に現れたのは天族のキャリーだった
「キャリーさん?!
いつの間に!」
驚くユリエフに、キャリーは微笑みながら答えた
「今、来たのです。
でもユリエフ様の活躍含めて、インドリームとクライヴ・ベネディクトの行動は全て拝見させていただいておりましたわ。」
「じゃあ・・」
「ええ、安心なさい、ヒルト・クローズ。
ユリエフ様をインドリームとして認め、天界の護衛なく、旅をしていただきます」
キャリーの話に、ヒルトとユリエフは手を取り合い、喜びあう
「よかったな、ユリエフ!」
「はい、ありがとうございます!」