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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士



「クライヴ様」


少年の名を呼んだのは、ラルザだった

「サルナス、アークから連絡が届きました
東の拠点を襲った天族の隊長を拘束し、拷問に成功したそうです」

「・・有益な情報は吐いたということか」
「はい、我ら闇族を奇襲させた者と思われる存在について話しているとのこと。」
「わかった、ラルザ
至急、転移魔法でその場所へ俺を連れていけ」
「はい」


ラルザはクライヴを抱き寄せ、魔法陣を描き
巨大な影を作りあげてその中へ沈むように消えていった






―――――――――――



別の場所、薄暗く壁は煉瓦で造られ、青い炎の松明がかけられた空間に

若い男の悲鳴が響き渡る

「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!」


「―――嗚呼、これは失礼
美しくその爪だけを剥いで差し上げようと思ったのですが
手が滑って皮膚まで剥いでしまいましたか」
「や、やめてくれ!
知っていることは話すと言ったはずだ!」

白銀の軍服は血で染まり、白い髪は戦の煙と灰で黒く汚れ
黄金に輝く瞳からは痛みによる涙が流れている

背中から生えている白く巨大な翼は黒い呪印が印字され
広げることができず、一切動かせずにいた

小さな魔術印が無数に埋め込められた黒い椅子に座らされ
両手両足には黒い釘が打たれ、血が流れ落ちている

青い髪をした魔術師、アークは不気味な笑みを浮かべながら
天族を拷問している

その様子を黙ってみている漆黒の騎士、サルナスは
何の感情も感じず、ラルザとクライヴの合流を待っているだけだった


「では次、小指の骨を今の状態で抜き取る魔法をお見せしましょうか」
「なっ・・」

アークが更に呪文を唱え、天族の顔が恐怖に歪む

だが、僅かな闇の魔力を感じ取ったサルナスはアークへ声をかけた
「――――アーク、我らの主が到着したぞ
その辺で止めておけ」
「・・おや、なかなか早いではありませんか」


アークは呪文を取りやめ、サルナスの隣で姿勢よく立った

薄暗い部屋の真ん中、闇と雷が広がり
どこからか冷気をまとった風を吹き荒れる

そしてサルナスとアークの影は異様な形で伸び
拘束される天族の前に集中して集まっていく

影は闇の塊となり、そこから姿を現したのは
ラルザとクライヴだった

天族はクライヴの全身に付着した血が誰のものか
すぐに理解し、絶望の表情へ変わっていく

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