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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士


その記憶は、はるか昔のものだった――――
暗黒戦争が始める更に前
闇の眷属である魔導師達が集うシュワルツ魔導国
その建物は全て魔法が宿った宝石や金属で造られた建物

その地下深く、仮面を目の模様を描いた仮面をかぶり
真紅のマントで身を包んだ者達は長い廊下沿いに二列になって立っている
その奥からは闇の神シャルゼが歩き、背後には紫色のショートヘアーで、赤い瞳をした少年が歩いていた

「クライヴ、今回の儀式は魔導国が誇る魔人の導入儀式だ
これまでお前が吸収してきた禁術や呪いとは格別。
一切の不純を許されない
この意味がわかるか?」
シャルゼは背後の少年の名を呼び、これから始める儀式の話をしていた
クライヴは虚ろな表情を崩さず、ただ返事をするだけだった

「はい、父上」

クライヴ・ベネディクトの闇を更に濃く、強くするために
闇の神は一日中儀式を行うこともあった

儀式の中、拒絶反応によってクライヴの体は引き千切れ
痛みに耐えれず泣き、叫び、怒り狂い、己の出生を呪う
それでも訪れる繰り返しの日々

多種族を闇で墜し、汚し、殺し、燃やし、強者の魔力を吸収して己の力を強くさせ
儀式を行い、肉体も心も壊される

クライヴにとって生きていること自体が悪夢と感じた

シャルゼの術によって意志を持ちにくくするように創り出されたおかげで
悪夢の日々は乗り切れていた

そして、とある日ーーーーー
クライヴは初めて守りたいと感じた存在と出会う

シャルゼが創り出した監獄という当時未完成だった異世界に
殺した多種族の魂を送り込む任務に就いていた帰り道
不思議な水晶が湖に浮いているのを見つけた

水晶の前には女性が立っており
腰まで水に浸かった状態で水晶に触れて黙っていた

意志のないクライヴにとって、他人を見つけても
興味を示さず通りすぎるが
この女性にだけは声をかけてしまう

「そこで何してる」

クライヴの声に女性は驚いたように振り向く

当初は警戒をする表情だったが
すぐに悲しげな表情にかわり
その瞳には微かな涙を浮かべた

「・・こんにちは、私はミレイア
訳あってこの湖で住んでいるの」

瞳に浮かべた僅かな涙を指でふきとり
優しい表情で話した彼女に
クライヴの中で何か変わった気がした

初めて感じる意志というものに
クライヴは動揺したが、それでも彼女を守りたい、そう、感じた瞬間だった
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