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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士


額に1本の角を生やし、白髪は短く、こめかみ辺りから延びる横紙の毛先に金色のリングを飾り
赤と青のグラデーションがかかった着物と羽織を着た鬼の少年

狐のように吊り上がった細い目は
ミレイアを見つめている

「・・・鬼神様」

「ニャハハ
どうしちゃったんだよぉ
オレッチにそんな可愛い目を向けないでよ」

口元を扇子で隠し、陽気に会話を楽しむ
その少年は鬼神と呼ばれる異形の神であり
監獄を管理していた最高司令官である

「・・・あの少年は気付いている可能性があります」
「オレッチと君の関係を?
それはなぁいなぁい!」
「ですが」
「いいかい、呪われ赤い蝶、ミレイアちゃん
キミはオレッチの人形なんだよ
口答えは許さない
黙って、オレッチの言う通りに奴らを誘導しろ、いいな?」
「・・・はい」

鬼神の重圧的な話し方に、ミレイアは眉間にわずかなしわを寄せながら答えた

絶対服従
それが監獄での掟であり、何者でも鬼神に逆らうことは許されなかった
過去、それが闇の神の娘として扱われていた存在だとしても
監獄では通じない

一切の常識をすて、鬼神が決めたルールで動く

死者の魂も、鬼を作り出すのも、どんな異形の化け物を生み出すのも、すべて鬼神の一つの命令で可能であった


「ミレイアちゃん
オレッチは用事あってしばらく塔にこもるけど、ちゃんと仕事してておいてよ」
「・・わかりました」
「少しでも仕事さぼったり、変な真似したら、その魂、そこらへんの鬼に食わして永遠の死を味わってもらうよぉん」
「・・・はい」
「勿論、クライヴ・ベネディクトの目の前でさせるから。」
「っ!」

鬼神は瞬く間に姿を消し、その場にはミレイアしか残っておらず、静寂が包まれていた


「・・私に・・夢をもつこを許されるなら・・
願うは・・彼の・・・」

薄暗い空を見上げ、静かに呟くミレイア
その背中から延びる鎖は首に絡まり、湖の水底までつながり、ミレイアの湖に縛り付けてることがわかる

透明な鎖は人の目で捕えることはできない
だが、ミレイアは鎖を掴みながら、ただ無力な己を憎み
涙を流し
ただ時間がすぎるのを湖の上で空を眺めて待つことしかできなかった――――

いつか、クライヴが全ての記憶を取り戻し
鬼神を倒すことを願っていた

それが、不可能であるとわかっていても
ミレイアは願ったのだ
最愛の家族の救いを。
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