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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士




一方、ゲートを抜け出したヒルトとユリエフはマントをかぶりあがら静かに監獄の世界の森の中を歩いていた

ヒルトは問題なかったが、ユリエフの外見はすぐに天族と判断でき
監獄でさまよう者たちに見つかると、すぐに襲われるからだった


木の幹から葉の先まで黒く闇で染まった森

その空は日食が起こっているように太陽と月が重なり合い
不気味な明るさが広がっていた

森の間とゆっくり通っていく老婆や痩せこけた子供
その服は朽ちかけており、人型の目からは血の涙をながし
どこかへ歩いてく

その方向は皆バラバラであり、統一性のない動きをしている

時折蒼白い光を放ちながら浮かんでいる魂をつまみ
自然に口に入れ、食べ歩きながら移動している

ここは死者の世界―――監獄。
現実世界では考えられない者がごく普通に存在している

そして人型の化け物を見つけた鬼たちは
強靭な腕を一振りし、人型の化け物の体を半部に切り裂き
その死体を食い荒らしていた

食い荒らした鬼は力をつけ、さらに体を大きく膨らませ
どこかへ去っていく

この光景はまさに弱肉強食といえるだろう
生者の世界では当たり前の理が
死者の世界でも存在している

監獄では死してもなお、死にきれない
苦痛と絶望の繰り返しが行われている



木々の陰から、隠れるように歩きながら移動するヒルトとユリエフ
だが、天族のユリエフにとって監獄の光景は残酷であり
顔色は悪くなっていく一方だった

「ユリエフ・・」

人であるヒルトは辛うじて耐えれていたが
それでも闇の重圧に心臓を内側から掴まれているような感覚があった

どれほど苦しくても、クライヴを見つけ、助け出すまでは帰れない
強い意志を持ち、疲れているユリエフを背負いながら
森の中をまっすぐ歩いていた

当てのない方向ではない
歩き続ける先に、不思議な魔力を感じたからだ

森を徘徊する異形の者たちとは違う、不思議な魔力に惹かれている

その魔力はまるでヒルトを誘うような
優しい魔力だった





ヒルトが歩き続け、たどり着いた場所は透き通った湖と半透明な水晶が浮かんだ広間だった

「なんだ・・ここ・・」

その湖の周辺の木々は避けるように根を伸ばし
決して湖の中に触れていなかった

「ヒルト君・・ここは?」
「俺もわからない
他の奴等とは違う魔力を感じて来たんだけど・・」

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