• テキストサイズ

IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士


死んだはずの肢体は心臓を取り出されたことで
抵抗するように暴れだす

だが、ラルザの剣とアークの氷の刃が手足を拘束し
一切の抵抗をさせなかった

「サルナス、早くしてちょうだい」

ラルザは剣を全力で抑えながらサルナスに催促させた

「あぁ・・!」

サルナスは魔力を右手に増幅させる
その時、右手の肌は焦げたように黒く染まり、血管は赤く光り
腕の形は人ではなく、魔物のように巨大に膨張した

そして掴んでいた心臓を手のひらに吸収していき
一滴の血をこぼすこと無く、サルナスの腕に収まっていった

「・・・」

クライヴはこれが何を行なっているか、すぐにわかった

それは闇の儀式の一つで、相手の魂を吸収し、時間をかけてその魂のエネルギーを自分のものに変換させる
導入儀式と呼ばれるものだった

過去、この儀式によって多くの闇の悪霊や魔物を取り込み
力をつけていた
身につけた力は永久的に己のモノとするが、拒絶反応が大きく
取り込んだ者の魂を蝕んでいく
だからこそ、導入儀式を行う者は強い精神力と肉体と魔力を有している必要がある

闇の神の息子であるクライヴでさえ
この儀式によって幾度も苦しんだ
それをかつての部下が起こっている
黙って見守っているクライヴだが、その心情は不安で満たされていた


「っ・・」

サルナスの右手は魂を吸収したことで
拒絶反応を起こし、皮膚の内側から血管がはち切れ、皮膚が耐えきれず血が吹き出す
だが、闇族特有の自然治癒力によって傷は治っていく

元の腕に治るのに、10秒もかからなかった

外されていた鎧はまるで意志を持つように動き出し
サルナスの完治した腕に一切のズレなく装着されていく
それはまるで外しても外しきれない呪いのような鎧だった

「サルナス」

「はい」

「何故、お前がその儀式を鬼に行なっている?」
「これでなければ鬼を倒す事ができないからです。
鬼の正体は死者の魂・・肉体だけ壊してもまた鬼神によって違う肉体へ魂だけ移され、新たな鬼が生み出されます
そうなる前に魂を吸収し、完全に終わらせなければ
倒したと言えませんから。」

サルナスは自らが傷を負う事に一切の躊躇もなく
この儀式を続けていた事がわかった
まるで昔の己を見せつけられているような感覚だと、クライヴは感じた


/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp