第8章 監獄と闇の騎士
「ただ鬼と戦っていた10年ではありませんよ、クライヴ様」
アークは魔法で大杖を取り出し、先端に装着された赤い宝石を輝かせ、杖を地面に軽く叩き付けた
杖が地面にあたる衝撃い反応し、
青く輝く魔法陣が浮かび上がり、まばゆい光を放ち
その場いた者の視界は真っ白な光で包まれた
「っ・・」
クライヴが目を開けた時
そこには黒いエネルギーを放ちながら、鎖で拘束され
魔法の文字が全身に印字され、もがき苦しむ鬼たちが転がっていた
額から尖った角を二本生やし
犬歯はとがらせている
瞳は赤く、肌は赤い者もいれば、青白い者もいた
「うぅぅぅっ!」
鬼の口には呪符が貼り付けられ
かすかな声しかだせない状態だった
「こいつらは・・」
身構えるクライヴに、アークは杖を一体の鬼へ向け、話した
「こいつらは鬼神によって生み出された、死者の魂で造られた異形の鬼共です。
こいつらを殺し、魔力を吸い上げることで貴方様は力は覚醒し、この監獄を抜け出せる術も思い出せるでしょう」
「!
俺の記憶は完全に復活していなことは、俺自身が一番わかっている
だが、この鬼の魔力を取り込むだけで本当にわかるのか?」
クライヴはアークの予想もしない提案に乗る気にはなれなかった
それには、信頼性の担保がなかったからだ
「・・少なくとも、昔の貴方様は監獄がどんな仕組みで構成され、どうすれば抜け出せるかご存知でした。
我々にその内容を語ることはありませんでしたが
監獄に落ちた者を救いたいと、仰っていたこともありますからね」
「―――――」
アークの話を聞き、更に迷うクライヴ
目の前には無力な鬼と、力と記憶を本来の状態に戻し、現実世界へ帰そうと強力するかつての部下
一番正しい判断はなにか
必死に考えるクライヴ
だが、そこに闇の殺気を感じ、クライヴは背後にあったステンドガラスへ振り向く
その瞬間、ガラスが砕け散り
そこから巨大な赤い鬼が闇の瘴気を纏いながら飛び出し、クライヴの前に勢いよく降り立った
「っ!」
「クライヴ様、お下がりください!」
身構えるクライヴの前に、サルナスが大楯と黒い刀身の剣を構え、守るように立った
「んー・・・キミかな、クライヴ・ベネディクトは」
額から日本の角を生やし、瞳には白い宝石を埋められ、犬歯がとがっている巨大な男の鬼は
低い声で話しかけた