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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士


「クライヴ様・・」

不死の肉体をもつクライヴにとって、どれだけ傷を負っても死ぬことはない
それでもあえて、クライヴが死んでいた、と話したのは
心が死んでしまう、つまり闇に飲まれて暴走する結果になる意味で言ったのだった

闇の騎士は肉体的にも、精神的にも闇の狂気からクライヴを守る為に存在し
その正体は古来、クライヴが創り出した英霊達であった

クライヴと契約を交わした闇の騎士は
消滅するその最後まで、クライヴに忠義を尽くすと約束し
クライヴは英霊達に肉体をあたえた
それが今のサルナス、アーク、ラルザだった


「・・この世界の仕組みのせいか」
「クライヴ様?」

静かに独り言を呟くクライヴに
サルナスは聞き返すが、答えることなく
沈黙しながら考えるクライヴ


クライヴにとって、闇の騎士はついさっきまで他人であり
記憶にない存在でもあった
だが、話を聞き、その姿を見ていくたびに
過去の記憶が流れるように呼び起こされた

闇の騎士を創り出した瞬間と
暗黒戦争まで、ずっとクライヴを守る為に傍にいたこと

そして、父親であり、闇の神でもあるシャルゼから
受けさせられていた儀式を終える度に
クライヴの肉体は破裂し、闇の力を無理矢理ねじ込められ
心が欠け、破壊されていったが
それでも闇な騎士の力によって
人らしく生きていくことができたーーーー

そして、闇の騎士と同時に、ある女性の後ろ姿がチラつく

白いワンピースを着衣とし
白く、薄い金髪を左に流した髪は
肩に少しつく程の長さである

表情までは思い出せないが
その口元は微笑むように優しく口角があがっている

「サルナス・・俺の傍にお前達と、もう一人女性がいなかったか?」

クライヴの問いに、サルナスの眉はピクッと動く
だが、その表情は一切の変えず、冷静沈着に答えた

「おられました」
「その女性の名が思い出せない・・
思い出そうとすると・・・」

クライヴは女性の事を考えるだけで
周囲に赤い蝶が飛び舞う

その光景を見たサルナルは目を見開く

「あの女性のことを考えれば・・考えるほど・・・
闇が内側でうずいて」
「クライヴ様!」

「!」

声を大きく出し、釘を刺すように、クライヴの小言を止めるサルナス

「今は、お休みください
この世界では、我々も貴方様も侵入者として扱われ
鬼が襲ってくる可能性が大いにあります」



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