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IN DREAM2

第2章 風を司る者


「壊れる、だと?」

「そう、そのままの意味ですよ。
肉体的にも精神的にも壊れるでしょう。
それを恐れるなら、これ以上の干渉は控えることですね」
トレイタスの発言に、クライヴは黙り込み
何も言い返せなかった
どこからか感じるトレイタスの話の信憑性は確かなもので
そして赤い蝶以前に、この男にこれ以上関わりを持ってはいけないという危機感
この同時に来る感覚のせいで、クライヴはただ、睨むことしかできない

全てを読み取ったように、トレイタスは鼻で笑い
クライヴから背を向けて洞窟の奥へ向かって歩きながら話した

「一つ、聞いておきましょうか。
貴方は何故、彼等の件を黙っているのです?」
「・・なんの事だ?」

「ヒルト君とユリエフさんの事ですよ。
貴方は気づいているのでしょ?
本当の魔族の居場所を。
同じ行動をする者として、敵の正体が分かっているなら
さっさと話せばすぐに済むものを。」

「あぁ、そうだな。
だが俺が言う必要がないからな?
魔族を見極め、戦うのはあいつらのやるべき事だ
それに関して、俺は一切干渉しないと決めている。」

「なるほど・・・。
それが貴方の答えですか、闇堕ち、クライヴ・ベネディクト」

トレイタスはそのまま暗闇へ姿を消し、その場に残されたクライヴは、胸の苦しさに気づく

ドクンッ ドクンッーーーー

「っ!」

脈が全身に強くうち、頭の奥まで響くほどの発作
目眩が起き、よろめくクライヴ
心臓を抑えるように、胸に手を当てる

「ハァ・・ハァ・・」

深呼吸をするクライヴ
その目の前に、赤い蝶は飛んでいく
まるで、どこに誘うようにーーーー
「・・例え、壊れようとも、俺は見つけなければいけない・・
その為に、今ここにいる」

重い体を動かし、クライヴはヒルトとユリエフへの合流を目指し、歩いた

ーーーーーーーーーーーーーーー

暗闇の中、横たわる人の死体を避けながら、ヒルトとユリエフ、エアは進んでいく
「ーーーー行き止まりだ」
ヒルトは目の前の壁を触り、これ以上道がない事に疑問に思う
どこにも魔族が居ないこと、だが確かに感じる強い魔力
「ヒルト君、ここはおかしいです。
まるで・・・」

「結界の中のよう、でしょ?」


「・・エア?」




ヒルト、ユリエフは先とは全く違うエアの話し方、声、魔力に身構えながら聞き返した

「エア、お前何か知って」
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