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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士



『ここに来てはだめ―――――』

(・・・だれだ・・)

『あなたは、ここに来てはいけない』

(――――なぜ?
それに・・お前は何者だ?)


真っ白な空間の中、クライヴはかすかな意識で
何者かと会話をしている

手足の感覚はなく、体を動かすことができない

いや、体などない空間

意識だけがそこにある

そんな不安定な夢のような場所で、女性の声に懐かしさを感じるクライヴ

だが、女性はクライヴをここから逃げるよう、これ以上近づかぬよう、警告しかしなかった

『これ以上堕ちてしまうと、あなたは戻れなくなる
・・彼等の力を借りて・・逃げて―――ー』

(彼等・・?)

『闇の騎士よ・・
彼等は貴方を求めている。
力になってくれるはず・・・けど、鬼には気をつけて』

(鬼?)

『鬼神。
この世界を管理している異形の神――――
彼等は・・・あなたを狙って闇へ――――』


女性の声は突然聞こえづらくなり
クライヴは何度も聞き返す

名も知らないはずの女性をなぜか聞き覚えのない名で呼んでしまった

(ミレイアッ・・!)

その名が女性のものか、わからない
それでも、とっさに口走ったのだ

もう、女性の声は聞こえない


だが次第に別の者の声が数人、聞こえてきた


「――――――・・を・・提供・・」
「――――で・・・ま・・しょう」


(今度は・・誰だ?)

男の声が数名と、別の女性の声も聞こえた

その声は先のものと違うのは
徐々に大きく、はっきりと聞こえてくるところだ

「・・・ス・・!
・・では・・を・・・しまいます!」

「それでも・・・ク、はじめろ!」




水の中で話されているように鈍く広がる声

そして、声の正体は視界がはっきりと見えてくることで明確になっていく

「・・・・あ・・・・」

視界の焦点が合い、クライヴは確かに現実世界で自分が仰向けになり、寝かされていることに気付いた

完全に目を覚ましたその場所は
崩れた廃墟であり、コンクリートの床に、黒く、古い闇の紋章が描かれたマントをかぶせてクライヴを寝かしていた

「なんだ・・これは」

マントをめくり、クライヴは今、どこにおり、なぜこんな場所で寝ていたのか考えていた


「お目覚めになられましたか」
「!」

そこに声をかけたのは、暗い金髪を一つでまとめた髪に、全身を黒い鎧で包んだ若い男だった
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