第7章 闇の神
「少し早すぎないか?」
「ライセイ・ラゾーラ・・
あの監獄から流れ出る瘴気は、人の心を壊し、世界中に更なる混沌へ導く火種になりかねませんわ
そんな危険な世界の蓋を開けるのに、10秒でも長いくらいですわ。」
「・・そうか」
きつく言い返すキャリーにライセイは素直に納得し、黙った
「さて、特に質問がなければゲートを開き、クライヴ・ベネディクトが落とされた監獄へヒルト君とユリエフ様をご案内いたしますが?」
「一つ、いいかしら。」
静まり返った空間に響いたのは
アランのはっきりとした声だった
「ヒルト、あんたに聞きたい。
もし、クライヴが闇に堕ちて暴走等起こし、こちら側の世界に連れ戻すことができない場合・・・
あんたはどうするつもりなの?」
「アランさん・・今そんな事を心配しても―――」
ユリエフがアランを制するように話すが
その前にヒルトが右手を軽くあげ、ユリエフと止めた
「アラン、俺はクライヴが暴走していても、この世界に連れ戻すつもりだ。」
「!
そんなことすれば」
「そんなことすれば、全員でクライヴを止めればいいだろ
あいつは、俺たちインドリームの大切な仲間なんだ
それとも、インドリームじゃないあいつは、別なのか?」
「っ・・そんなこと、言ってないわ」
「だったら、協力してくれ、アラン」
「・・・・」
ヒルトの期待のようなまなざしに、アランは目を背け、しばらく沈黙する
「アラン、俺はアランが種族関係なく、みんなが平和に暮らせる世界を目指し、その夢が力になっていることがすごいと思うんだ」
「ヒルト・・」
「リザードマンだろうと、人間であろうと、アランは関係なく接した
それができるなら、アランの夢は叶うと思うし、その夢が偽物じゃないなら、クライヴが暴走しても
一緒に力をかしてくれるって、俺は信じてる」
「・・・」
「だからさ、アラン」
ヒルトは手を差し伸べ、笑顔で優しく話した
「俺たちがいない間、仲間を守っててほしいんだ
これは、アランにしかできないことだし
俺はアランを信じてる」
「ヒルト・・」
「アランなら、種族や境遇なんて関係なく
全ての命ある者を平等に救う
その夢を叶えられるさ
仲間を思う気持ちは、いつでも本物だって、俺は知っているから。」
アランはヒルトの話に、少し涙ぐみ
それでも必死にこらえた