第7章 闇の神
遺跡の最深部
激闘が繰り広げられたその場所は
瓦礫や血痕、鉄くずが溶けた後が多く残り
透明な結界を正方形に張り巡らし、ジェイクとイリヤをそれぞれ集中治療している
白衣を着た天族達は魔方陣を展開させ、魔力と生命力との回復
傷口を塞ぎ、細胞を活性化させ、できる限り肉体の自然的な治癒で回復させようと必死に看病していた
天族の治癒魔法は強力で、全て治癒魔法に頼った回復を行うと
対象者が目を覚ました時、筋肉の低下や頭痛、吐き気など
健康に不調をきたし、すぐに動けなくなる
それは天族同士でもありえることである
ましてや、地上の人間に行うとなれば更に繊細な作業になり
集中して行わなければ、大きなミスにつながる
結界の外でジェイクの集中治療を見守っていたアラン
その隣の結界では、治療を終えつつあるイリヤが特殊な光のベットで眠っている
「・・・」
黙ってみている中、壁を左右に飛びわたりながらライセイとキャリー、ヒルト、ユリエフが上層階から降りてくる
「アラン、キャリーがクライヴを助ける準備ができたらしいぞ」
「・・ライセイ、あたしやっぱり」
「うるせぇ。
わがまま言ってねぇで黙って話きいてろ。」
ライセイはアランが話そうとしていな内容に察したのだろう
呆れた表情にイラついた口調で止めた
そんなライセイに、アランは何も言い返すことなく、黙り、固く口を閉ざした
「皆さん、お待たせしました
それでは、クライヴ・ベネディクトがどこへ連れていかれたか、まずはそこからご説明しましょう」
キャリーは白い小さな杖を取り出し、先端には黄金色の宝石が埋められていた
「連れていかれた場所は、闇族が作り上げた監獄という異世界。
そこには闇の掟を破った者や、死してもなお、思念体になって現世へ戻ろうとする使者が集う場所であり、天族や人は立ち入ることのできない領域ですわ。」
「そんな異世界、聞いたことねぇぞ」
「ライセイ・ラゾーラ君
龍族の中でも危険と言われ、恐れられていた異世界でしたし、この存在を知っているのは闇族とその眷属と、天族の一部の存在ですから。」
「キャリーさん
その異世界に行くと、人はどうなってしまうんだ?」
ヒルトの問いに、キャリーはすぐに答えた
「狂い、闇に堕ちます。」
単発に応える内容に、ヒルトは何と言い返せばよいかわからなくなった