第7章 闇の神
ユリエフの言う助けるべき存在
それは誰を指しているか、ヒルト、ライセイはすぐに理解した
血まみれになりながら、シャルゼによって闇の世界へ落とされた光景は
インドリーム全員の脳裏にしっかりと焼き付いている
「ヒルト・クローズ
準備ができましたわよ」
「キャリーさん!」
腰から生やした二本の翼で空を舞いながら現れたのは
クライヴを救う準備を済ませたキャリーだった
「遺跡の最深部へ来てくださります?
意識を失ってる2名のインドリームと含めて
全員にお話いたしますから」
「・・わかった」
キャリーは先に遺跡の中へ入り
暗闇が広がる最深部へ姿を消した
「よし、んじゃ行こうか」
立ち上がるライセイ
だが、ヒルトとユリエフはすぐには立ち上がらなかった
その二人の様子をみたライセイはすぐに気づいた
二人だけで話しておきたい事があるのだとーーー
「先行ってるから、さっさと来いよ?」
ライセイが吐き捨てるように一言口に出し
そのまま遺跡の中へ入って行った
残された2人は目を合わせ、ヒルトは微笑んではなした
「ユリエフ、さっきはありがとう」
「いいえ、おれはどう考えてもおかしいですから。
それに、こうやって仲間割れをさせるのも、敵の思惑かもしれませんし・・」
「あの堕天使と、その仲間か・・
たしか、アルトリアっていうんだよな」
「ええ、彼女は私の師であり、天族では有名な法術師でもありました。
彼女は、自分が堕天使になったのは世界の理が歪んだせいだと話していましたが、私は今でも信じきれないんです。
それだけで、あんなに変われるのか、と。」
スカートをにぎり、悲しげな表情で話すユリエフ
「ですが、それ以前に、アルトリア達は私たちの仲間を傷つけました」
「・・・クライヴ・・」
「はい、クライヴ君があの森から遺跡の最深部までどうやってたどり着いたのかは不明ですが、闇の神を復活させる供物として利用されたことに、私は許せません
だから、クライヴ君を助けに行くなら私も一緒にいきます。」
「!
でも・・」
「仲間を助けるためです
クライヴ君も、私たちの大切な仲間です」
ユリエフの強い決意は
その目を見ればすぐに伝えわってきた
「ありがとう」
ヒルトは静かに呟き、ユリエフに手を差し伸べた
ユリエフは差し伸べられた手を握り
二人は手を繋ぎながら遺跡の最深部へ向かった