第7章 闇の神
遺跡の最深部へ降りていくアラン
その場に残ったライセイは胸騒ぎを感じつつ
屋上でユリエフの治療をうけているヒルトへ目線をむけた
そのまま雷を両足に纏わせ、磁力で軽々しく屋上まで登っていくライセイ
ピラミッド型の遺跡だが、頂上だけ四角く出っ張りがあり
人が数名座れるスペースがある
そこでシャルゼに受けた傷をユリエフに癒してもらうヒルト
「ヒルト」
「ライセイ
どうしたんだ?」
登ってきたライセイはヒルトの左隣に座る
「傷はどうだ」
「ユリエフのおかげで殆ど良くなった感じかな
ライセイこそ、肩の傷は大丈夫なのか?」
「俺も大丈夫だ
・・けど、不安は残るな。
俺達が立ち向かう敵は、本当に倒せるのか・・」
ライセイの問いに、ヒルトとユリエフは黙り込む
それは突きつけられる現実であり、力の差は歴然としていた
なぜ、ここまで違うのか
どうすれば仲間を守れたか
考えてもどうしようもない事をずっと考えてしまっている
ライセイだけではなく、ヒルト、ユリエフ、アランはこの抜け出せない輪の中で止まってるような感覚だった
「アランが、もう少し早くヒルトが助けに駆けつけてくれればって言ってた」
「アランさんが?」
ユリエフは疑う表情でききかえす
「あぁ、自分はあの場で何も出来なかったことに悔やんで
俺にどうすれば強くなれるか、さっき聞いてきたんだ
その時に、呟いてた程度だけど。」
「・・・。」
俯きながら、返す言葉が見つからないヒルトは深刻な表情をして黙っている
「ヒルト君、アランさんの言った事は気にしないでください。」
「え?」
「アランさんは自分を責めているのでしょう
その苛立ちをヒルト君にぶつけているだけです。
なので、ヒルト君がそんな深く考える必要はありません」
「そりゃ、どういう意味なんだ、ユリエフ」
「いいですか、ライセイ君
あの状況で仲間が駆けつける事が遅く、それが原因で重症を負ったのなら、それはヒルト君だけの責任ではなく
インドリーム全員の責任となります。
一人だけが強くなっても意味なんてありませんから。」
「あー、なるほど
それで?
アランはそう思ってなくてイライラしてるけど、どうすんだ?」
「勿論、私が説得します。
こんな小さな事で仲間割れする必要なんてないのですから・・
それに、今はもう一人助けるべき存在がいます」