第7章 闇の神
数時間後ーーー
治療術に長けた天族増援部隊が遺跡に到着し
インドリームの傷を治していた
とくに重症だったジェイクとイリヤは優先され、集中治療されている
ライセイ、アランはすぐに治癒を終え、遺跡の外で休めているが
その空気はとても重かった
「ねぇ、ライセイ
どうすればあんたみたいに、あんな強くなれるの?」
「あ?」
突然のアランの問いに、ライセイは気味悪そうに反応した
いつも自信に満ちたアランではなく
とても落ち込み、その声は暗く、小さく呟くように話していたからだ
遺跡の入り口で座り込むアランの隣で
ライセイは包帯を巻いた右手を空にかざすようにのばし
少し間を空けてから答えた
「俺は強くねぇよ
トレイタスに遊ばれてただけなんだ
昔も・・今も。
あの時、あいつの心臓に槍を突き刺せたのも、手加減して俺に隙を見せるためだったんだ」
「・・それでも、目で追えないくらい早く動いてたじゃない」
「・・・」
「私には、あんな早く動くスピードも、イリヤみたいに敵の攻撃を守る盾も、ジェイクみたいに弾丸を溶かす力もない・・
出来る事は限られていたわ
みんなみたいに、強くなれたらってあの瞬間とても感じたの。」
「あー、それなら、インドリームの力の根源、夢に込める想いと
アランのが持つ水の特性について調べてみろよ
俺もそうやって修行したことはあるからさ」
「夢に込める想いと、水の特性?」
「ああ、要はアランが持ってる夢に影響されてインドリームの力は発揮されるし、臨機応変に技を使いたいなら
水がどんな場所で有効で、不利な場合の応急処置法も考えとけって話だ。」
「ーーーーなるほど」
アランは納得したように
落ち着いた口調で答えた
まだ傷が完全に完治していないせいか
ゆっくり立ち上がり、遺跡の中へ入っていく
「アラン」
ライセイに呼び止められ、振り向くことなく立ち止まるアラン
「ジェイクの傷は深刻だ
けど、お前のせいじゃねぇぞ
まだ意識は戻ってないらしいが、それでもーー」
「わかってるわ」
ライセイの話に覆い被さるように、アランは話た
「あいつは・・今回の傷で死ぬようなヤワじゃない
けど、もう少し早く・・ヒルトが来てくれてたら、事態は変わってたかもね」
「・・お前・・」
「なんちゃってね。
あたしはジェイクが眼を覚ますまで付き添うわ
じゃあ、ありがとう、ライセイ」