第7章 闇の神
そうこう考えているうちに、シャルゼの口から発する数は減っていく
そして最後の数を口にした瞬間
「ああああああああああああっ!!!」
ヒルトは叫びながらクライヴから離れ、戦うユリエフを抱き寄せ
アランの元へ風で一気に近づき
巨大な竜巻を起こした
「風よ!!
我らを守りたまえ!!」
5つの竜巻が吹き荒れ、シャルゼの武器は竜巻の力で魔力を流しだされ、ガラクタの鉄くずのようになって空から落ちていく
「え・・なにこれ」
自分たちでは見えなかった脅威に
アランは震えながら武器を何度も見返し、竜巻の中、敵と完全に離れることができ、立っていたヒルトに声をかけようとした
だが、シャルゼの一振りで竜巻は瞬く間に消え去り
ヒルトは冷汗をながしながら、大剣を構えた
アラン達を襲っていた敵は全員シャルゼの元に立っており
突然の出来事に、ユリエフも弓を構えることができず
それどころかジェイク、イリヤ、ライセイの傷に驚き
腰をぬかしてしまっていた
だが、ヒルトは今にもシャルゼの方へ攻撃をしかけそうな勢いだった
それはシャルゼの右手がしばっている存在の解放
つまり、クライヴを解放させるため、攻撃のすきを狙っていた
「よくぞ選んだ、ヒルト・クローズ
お前が選択した者達は間違っていない
・・だからこそ、お前の夢を覚まし、絶望へ変えてやる」
シャルゼの重圧的な声と共に
首をしめられ、持ち上げられている無抵抗なクライヴの足元から
巨大な赤い蝶が出現した
その蝶の胴体には人の口のようなモノがあり、納まりきらない長い舌を垂れ流しながら
大きく口を開いた
異様な化け物に、一瞬ヒルトはどうすればいいのか判断がつかなかった
「では、ここでお別れだ」
「!」
シャルゼは大きく口を開いた蝶の中にクライヴを投げ入れ
蝶はそのまま一気にクライヴを飲み込み
かすれた老婆のような声で言った
「だじがに・・罪人をいただきまじだ―――」
蝶は地面からの時空の歪みから延びるように出現していたが
クライヴを飲み込むと瞬きをするスピードで姿を消した
「ク・・ライヴ・・?」
固まるヒルト
それに対し、シャルゼは鼻で笑いながら話した