第7章 闇の神
「ーーーーそうね、第七聖人として生まれつき心に闇を
持たない純粋な光の申し子に話して、理解してもらえるかわからないけど、まとめていうと
この世界は間違っているから、正しい理へ戻すための行い。
そして、真実を知るためね」
天井を見上げながら上の空のように話すアルトリア
そんな彼女の発言にユリエフはまったく理解できなかった
「そうですか・・そんな理由で闇の神を・・
暗黒戦争時、アレを封印するためにどれほど多くの命が失われ、
闇の神によってどれほど世界が汚染されたか、私より多く生きてきた貴方なら知っているでしょう!?」
「・・・知ってるわよ
それで本当に私がしたいこと知れた。
あんな偽善者が集まり合い、自分達のルールで世界を管理しようとしている奴らと
あたしは群れる為にいるんじゃいの。
光と闇の均衡は失われてはいけないーーー
それが暗黒戦争で失われた時、理が崩れていくのよ。
そう、例えば天族で闇な力に魅了され、堕天使となる者がいる、とかね?」
剣を軽々しく振り回しながら、アルトリアは剣先を己に向けて話した
闇の神が封印されたことで、本来存在しないはずの堕天使が
存在してしまった自体
その象徴が己であるーーー
そう、言ったのだ。
ユリエフはアルトリアの話に返せる言葉が見つからなかった
暗黒戦争前から天族が堕天使となることはある、とは言われていたが
実際になった者は存在せず、あくまで可能性の話の範囲であった
それでも、闇の神が封印され、現在に至り
アルトリアという天女が堕天使し、完全にユリエフの知るアルトリアとは比べ物にならない事を話し始めた
「私に・・治癒術や法術、武術、魔法、結界、あらゆる知識を与えてくれたのはアルトリア士官、貴方でした」
「・・・」
「もう、私の知る優しく、強い貴女はいないのですか?」
「いないわ。
こんな結果になったことを恨むなら、闇の神を封印することを決断した天族を恨みなさい
わかる?ユリエフちゃん。
ここにいる者達は殆ど世界の理が崩れたことで
生まれた者達。
天族達はあたし達みたいな化け物がいずれ存在する事を
承知した上で、世界を歪めたの。
勿論、地上にもその影響はあるし、既に半魔として生を受けた者だっているわよね
魔獣として放浪する少年もいたかしら?」