第7章 闇の神
「お前がクライヴをここまでしたのか⁈」
「それがどうしたというのだ、インドリーム、風を司る者よ」
「っ・・お前はクライヴの肉親だろ!
どうしてここまで酷い事ができる!?」
ヒルトは怒り狂いながら
シャルゼへ攻撃を繰り返す
その全てを片手で防ぎ、余裕のシャルゼ
ヒルトへの問いにも応えるが、その表情はまったく変わらず
冷静に、清々しく答えていく
シャルゼの顔を見れば見るほど、ヒルトの力は増していき
同時に憎悪に満ちた表情は豹変していく
ヒルトが向けている気持ちが純粋な怒りだと知ったシャルゼは
口元をニヤつかせ、ヒルトの攻撃をはじき返し
初めて反撃にでた
「なるほど、貴様は本気で我が息子を仲間だと思っているのか」
「当たり前だ!
誰が何と言おうと、俺はクライヴを見捨てない!
あいつは俺の仲間だ!
だから守ってみせる!」
ヒルトの憎悪と決意が入り混じった表情と真意を感じる言葉に
シャルゼは鼻で笑いながら答えた
「ならば、試してみよう」
右手から闇の巨大な球体を出現させ、そこから何十本もの剣や斧といった武器を出現させた
「!」
全て禍々しい闇を纏った武器は球体から
目にも止まらぬ速さで飛び出し
そのまま空気に紛れるように姿を消した
「消えた?」
大剣を構え直し、守りの姿勢へかえるヒルト
だがシャルゼが出した武器が見えず
あたりを見渡す
目前のシャルゼは口元をニヤつかせながら
ヒルトを見たまま黙っている
今の武器が消えた事が偶然ではないことは明白だった
それでもまったくの殺意を感じ取れない
それどころか、武器が目で捕らえない以上
防ぎようがない状態だった
だが、その武器は確実にヒルトの頭上で刃を向けられており
シャルゼの合図一つでヒルトの命は途絶えれる瞬間まできていた
その武器を目視できるのは、シャルゼとその場にいたクライヴだけだった
「っ・・!」
クライヴは気づいていた
シャルゼはヒルトを見殺すか、身を呈して庇うか
クライヴがどちらを選ぶか試しているのだとーーーー
武器が頭上に浮かんでいることに気づいていないヒルトに
クライヴは叫んで気づかせようとした
だが、その前にシャルゼは指を微かに動かし
武器をいっせいにヒルトへめがけて振り落とした
「・・ヒルトッ!!」
口や腹部から血を流しながら
それでも必死に走り出し
クライヴは叫ぶように呼んだ