第7章 闇の神
クライヴが口を開き、何かを言おうと始めた時
シャルゼの一言に呼応するように、クライヴの腹部は破裂し
大量の血が勢いよく飛び散った
「・・・・え゛?」
まるで体の中から爆弾が破裂したような感覚
内臓であろうものの一部が飛び出し
口からは血を吹き出しながら、衝撃で背後から倒れていくクライヴ
重い体は全身打ち付けられ
何が起きたのか理解できないまま、激痛が走る
泣き叫ぶような声
だが、声にならない声―――ー
いつかの実験以来の痛みと恐怖が襲ってくる
狂いそうな気持を必死で抑え込み
クライヴは息をしながら傷口を手でふさぐように動かすが
震え、力がない状況ではうまく動かすことすらできなかった
「息子よ―――
忘れているようだが、貴様が闇堕ちとなった以上、血を流しすぎると意識を失くし、闇が暴走し、殺戮衝動がお前を覆いつくすことになるだろう」
「はっ・・はっ・・・はっ・・・はっ・・・」
必死で息をしながら、シャルゼの声のほうに目だけを向けるクライヴ
もう、ここで死んでしまったほうが楽になるのではないか
そんな感情が脳裏に浮かんだ
だが、クライヴの意識をはっきりさせる声が聞こえた
「風よ、我と、我の友を守りたまえ!」
その声は聴きなれた親しい者の声
上空から風を被い、大剣を振りかざし、シャルゼにむけて一気に強力な竜巻を発生させ、攻撃を繰り広げる
朦朧とする視界の中、その姿が何者かすぐに理解できた
「ヒ・・ルト・・なぜここに・・・?」
「闇の神の封印を強めるために、天族に導かれて遺跡に入ったんだ。
俺も、どうしてクライヴがここでこんなひどい目にあわされているか聞きたい
けど、まずはこいつらを何とかしなくちゃいけない」
「クライヴ君は、休んでいてください」
その場に降り立ったのはヒルトに続き
ユリエフ、ライセイ、イリヤ、アラン、ジェイクだった
遺跡の上空からは特殊な術を使用し、姿を消して様子を見ていたキャリーがいる
強力な敵の前でも怯まず立っているインドリーム
ヒルトが発生させた竜巻はシャルゼによって消し去られ、その姿をインドリーム全員が捉えた
「みんな、いくぞ」
ヒルトだ大剣を握りしめ、シャルゼに向けて加速し、大剣をふるい落とした
「・・ふん」
鼻で笑うように、シャルゼは片手の爪を伸ばし、簡易に防ぐ