第7章 闇の神
「私を呼んだか
我が息子よ」
その声は記憶の中ではなく
はっきりとした意識の中
手を握り返す感触が確かにあった
「―――――え」
クライヴは目を疑った
目前にいる男は
確かの己の父親であり、その姿は暗黒戦争時と一切変わっていなかった
服、香り、容姿全てがそのままだった
いるはずがない
そう、心の中でつぶやいた
なぜここにいることに、否定するのか
その根拠がどこにあるのかわからない
それでも、シャルゼがいること自体に違和感を感じるクライヴ
―――偽物か――
そんな疑いすらもつ
シャルゼの周囲にはアルトリア、トレイタス、ヴァン、ルキュリア、アラモードがこちらを見ている
シャルゼはクライヴの体に拘束されていた鎖や針を見つめて話した
「龍族の者、土族の者よ
この全てを解け。」
「かしこまりました」
シャルゼの命令に、一切の意見を言わず、鎖を解き、針を消滅させた
「・・・・」
不思議そうに見るクライヴは立ち上がろうとするが
完全に治癒しきれていない体では何もできず、膝をまげ、右手て貫通した腹部を抑えていた
クライヴの苦しむ姿と、その黒く染まった髪をみていたシャルゼはクライヴの髪を鷲掴みし、覗き込むようにしゃがみ
目線を合わせた
「・・では説明してみろ、我が息子よ。
この髪と瞳の色はなんだ?」
「っ・・!」
威圧的な口調と魔力に
クライヴの体は恐怖でかすかに震え、すぐに答えることができなかった
「私が与えた姿ではないな
これは闇に堕ちた後、意思を取り戻した者の証・・
あの暗黒戦争のとき、私は貴様に真の力を目覚めさせ、闇の邪神として進化させた
だが、この無様な姿と臭う光の汚臭・・・・」
「っ・・・父・・上・・俺は」
「光に触れ、汚されたか」
「!」
「天族から洗脳され、インドリームと共に過ごし、友を得たということか―――ー」
シャルゼに見つめられ、赤く光るクライヴの瞳
同時にシャルゼの瞳も赤く光り
クライヴの中に眠る記憶を読み取っていく
何を言い返せばいいのかわからないクライヴ
口をつむりながら黙り込む
そんな姿に、シャルゼは失望したように深いため息をはき
クライヴの髪を掴んでいた手を離し、立ち上がった
「父上、俺は」
「弾けろ」