第7章 闇の神
クライブの下に描かれている魔方陣は
流れる黒い血を吸うように文字に沿わせて集まり
魔方陣は禍々しい魔力をため込んでいく
「集え」
ルキュリアの指示に従うように魔力は
縛られた球体へ流れていき、かすかに球体から脈をうつ音が響き渡る
「始まったわ」
ニヤリと不気味な笑みを浮かべるアルトリアは
更に追加の指示を魔方陣に与えた
「かの闇は復活を遂げ
世界は本来の理を知ることとなる―――
人の心から溢れる願いは効き遂げられ
今、神は真実をもたらす為に応える」
古代の闇族の文字を空中に描き
黒く光る文字はクライヴの体にはりついていく
肉が焼け焦げるような匂いが
クライヴの体から漏れ出した
それはアルトリアの魔法によって浮かび上がった文字が
クライヴの皮膚を灼熱で溶かし、更なる血を流すため
体の深部まで文字が沈んでいく
「あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!
ぐっ・・がはっ!!」
狂ったような悲鳴を上げながら
針の毒が全身に回り、吐血するクライヴ
流れる黒血は魔方陣を経由し、球体の真下に置かれた
呪符だが張られ、包帯でまかれたモノに吸い込まれていく
全ての傷を修復するほど余裕はないが
かろうじて先の傷を負った両目だけ感知し
視界も次第に戻ってきた
「がっ・・はぁ・・はぁ・・」
見えてくるクライヴの視界には、吐血した黒い血と
黒く光る魔方陣
そして、その前にはリザードマンの集落で会った魔女や
洞窟で遭遇したトレイタスがあざ笑いながら
こちらを見ていた
「ぜぇ・・ぜぇ・・ぜぇ・・お・・ま゛えらが・・全て繋がって・・!」
かすれた声で精いっぱいの力を振り絞り、話そうとするクライヴ
だが、あざ笑う者たちは何も答えなかった
「僕の針を受けてもまだ話せるなんて、生意気だね」
「!」
背後から聞こえてくる少年の声に聞き覚えはない
だが、危険な魔力の呪力を感じ
容易に振り向けない
そんなことを考えている中、背中に巨大な針がクライヴを突き刺した