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IN DREAM2

第7章 闇の神


筋肉が盛り上がった体格の良い男の左手には
両目から血を流し、ぐったりしている少年が引きづられていた

「ヴァン・トレイン
只今、アルトリア様のお求めになられている
供物を持ち、参上仕りました!」

突如現れたその男は膝まづき
アルトリアに頭を下げた

「もう、ヴァン
からかうのはやめてくれる?
見てよ、あのトレイタスの引いた顔」

笑いながら楽しそうに話すアルトリア
その後ろでトレイタスは引きつった表情をしていた

「はっはっは!
これは申し訳なかった!」

豪快に笑うその声は空間に響き渡り、ルキュリアやアラモードのじゃれ合う声すらかき消した

視線がヴァンに集まる中、咳払いをして左手にもっていたものを
魔法陣の上に投げ落とした


黒い血が辺りに飛び散り
出血していた両目からは
傷の修復を行なっているのだろう
黒い煙を出しながら、少年は両手で顔を覆った

「くっ・・・」

まだ視界が見えていないのだろう
うつむせの状態で倒れたまま
起き上がる力はなく、膝をついている

両目の修復が追いつかない中、正体不明の場所へ投げ出され
状況を確認しようとするクライヴ



パンパン

だが、先に両手を叩き、話し始めたのはアルトリアだった

「さて、全員揃ったようだし、始めるとしましょうか
トレイタス、彼を縛っていてね」

「ええ、わかっていますとも」

トレイタスは右手を水平に広げ
握る拳から黒い雷を出現させる
その雷は鎖へと姿を変え、倒れるクライヴの全身を縛り上げた

「っ!?」
「この鎖は貴方では抜け出すことはできませんよ」

両目を隠していた両手は背中へ回されるように縛られ
そして首元にも鎖はくい込み、呼吸をすることすら難しい状況だった
聞き覚えのあるトレイタスの声に、クライヴは何か言おうとするが
それでも声を発することも許されない

更に追い討ちをかけるように
アラモードは細かく小さな針を上空に何千と浮かび上がらせ
一気にクライヴの背中へ突き入れた

「?!!」

クライヴに襲う痛みは針が刺さるものだけではなく
針の先に塗られた猛毒だった

神経を麻痺させ、殺戮衝動が完全に抑えられるが
決して意識を失わせない激痛が襲ってくる
毒のせいで傷は癒えず、両目の修復と背中の傷は
クライヴにとって体力を大幅に消耗させるだけだった

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