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IN DREAM2

第6章 天族



クライヴの視界が真っ暗になった原因は
すぐにわかった

それは、クライヴの両目からはしる激痛だ


「あっ・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!」

両手を目にあてるとすぐにわかった

クライヴの両目はつぶされ、失明しているのだと
そして視界が暗くなったのもそれが原因であり、両目から黒く汚れた血が流れ落ちる

「あ゛あ゛・・・あ゛がぁ・・・」

両目は小さな弾丸で貫かれ、その弾はクライヴが倒れた背後の木にめり込んでいる


「うし、命中したな」

どこからか男の満足そうな声が聞こえた

だが、クライヴにはそれが何者なのか確認する方法も、余裕もなかった
激痛についていけない状況で、足音がこちらに近づくように大きく聞こえてきた

聞き覚えのない声をしたその男は、クライヴの首に巻いているマントを掴み
そのまま無抵抗なクライヴを引きずり、禍々しいゲートを開き、どこかえ消え去っていった――――


闇のゲートの中、男は口笛を吹いながら歩いていく

痛みが続くクライヴに、言葉を発する力はなく
ただ引きずられて連れていかれるしかできなかった

両目の激痛のせいで、発作が収まったように、まったく気にならない
それ以上の激痛だったのだ

クライヴが知る限り、両目を貫かれたのは初めてであり
その痛みは計り知れなかった
たとえ、自然治癒力をもっていたとしても、関係なかった


両目の傷は微かに癒えてきてはいるが、クライヴが負ってきた数々の傷の中で
一番治りが悪かった

「っ・・ぐ・・」
「よぉ、おめーさん
不死身っていう噂は本当のようだな」

男が揚々とクライヴに話しかけた

「俺の弾は特殊でなぁー
魔族であろうと、闇堕ちであろうと、どんな相手でも対象の体を貫くことができる
もちろん、強すぎて常識が通じない相手は別だがな。
にしても、たまげたね
目ん玉と同時に脳も少し削ってやったんだが、生きてるとはな、はははは!」
「・・・。」

豪快に話す男クライヴが話せる余裕すらないことを
知っているのか、一人で話しを進めていた

「まぁ喜べ!
お前さんはこれから家族の再会ができるんだ
その時には両目も治っているころだろうな」
「・・・・。」
男は楽しそうに語り掛け、ひたすら同じ景色が広がる時空の中を
クライヴを引きずったまま、歩き続けていた




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