• テキストサイズ

IN DREAM2

第6章 天族


更に奥へ、奥へ奥へと
森の奥へ歩きだす

瞳は真っ赤に光り、息を切らし、心臓の痛みに加え
頭痛までも襲ってきた

「っ!!」

右手は胸部の服を
左手は頭に手をあて、少しでも痛みが和らげばという
気休めの行動
そんなもので痛みや殺戮衝動が収まらないと
知っていても、体は動く

「く・・そ・・」

すでにクライヴの視界は真っ赤に染まり
先まで色鮮やかにみえていた景色は
血であふれたような赤い色、一色で染まって見えていた

ドクンッ

ドクンッ

ドクンッ

「い゛っ・・」

歯を噛み締め、必死に痛みに耐えるが
それでも声は漏れている

いたい

そう口にしたはずだが、はっきり呟くことも出来ずにいた

『クライヴ―――』

「?!」


どこから呼んでくる女性の声

『まだよ・・
あなたは、ここで飲まれてはいけない』
「お・・ま・・えは・・?」

女性の声がするたび、クライヴの全身の痛みは緩和されていく気がした
突然の奇跡としか思えない出来事に、クライヴは女性の声に反応する

女性は姿を現すことなかったが
目の前には、クライヴにしかみえない
あの赤い蝶が飛んでいた

『わたしは・・ここに・・・いるわ』
「・・・・」

藁にすがる思いでクライヴはその蝶に触れようと手をのばす
だが、蝶は触れさせないようしているのか
クライヴから少しずつ離れて飛んでいき
森の中へ飛んでいく

女性の声はもうしない

それでも、今のクライヴは蝶を追うことしか考えていなかった
発作は多少和らいだとはいえ、まだ続いている
痛む心臓を抑えるように右手で抑え
ゆっくり蝶が飛んだ方向の森の奥へ消えていく



それほど歩いてはいない
息を切らしているのは、発作のせいである
それでも、クライヴは歩くことをやめなかった

そして、たどり着いた場所は小さな湖
その中心に立っている巨大な赤い宝石と
それを守るように蓮の花とシダが巻ついている

「なんだ・・ここは・・それに、この魔力・・どこかで」

クライヴは宝石から放たれる魔力に、引き寄せられ
湖の中に進んでいこうと足を進める


だが、その瞬間
クライヴの視界は真っ暗になった

「?!」

周囲も何も見えず、そのまま全身が後頭部から倒れる痛みが全身に走った

「な」
/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp