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IN DREAM2

第6章 天族


クライヴより体力のないヒルトでさえ
すがすがしい表情をしている
それなのになぜ、クライヴだけが疲れているのか
その理由について、ヒルトでは見当がつかなかった

「顔色も悪いぞ
どうしたんだよ・・」
「・・・少し、気分がわるくてな
原因は俺もわからないが、突然だ」
「・・わかった、俺たちはこれから石が導く場所へ目指して森に入るから、クライヴは街道沿いの人目がつきにくい場所で休んでてくれ
ここから数キロ離れた場所になるけど、そこでなにがあるか確認したら、様子を見に一度戻るから。」
「・・・荷物扱いされるのはごめんだ
俺もそこへ向かおう」
「体調悪いって言われて、それでも連れていくと俺が言うと思っているのか」

ヒルトは威圧的にクライヴに話した
クライヴのプライドより、体調のほうがよほど大切だからだ

「・・だがヒルト、俺は」
「荷物扱いしてるんじゃない
俺の大切な友達だから、無理してほしくないんだ
ここで待っていてくれ、頼むから。」
「・・・・・。」

ヒルトは少し頭を下げるように話し
クライヴは黙って頷き、近くの街道沿いの気に体をよせ、軽く手をふった
行ってこい
そう伝える仕草だった

ヒルトは安心した表情に変わり、クライヴに背を向け
ユリエフ、ライセイ、イリヤ、アラン、ジェイクを連れて森の中へ入っていった

その様子を最後まで見守り、インドリーム達の姿が見えなくなった瞬間、その場に座り込み、心臓部分に右手を置き、深呼吸する

「すぅー・・はぁー」

自分らしくない
何を焦っているのか

クライヴはそう己に諭しながら一人、雲しか浮かんでいない空を見上げていた

鳥が時々飛ぶきれいな青空が目の前に広がる
風が吹けば木の葉が舞い、木々から吹き抜ける風を感じている

(一人でこんなゆっくりできたのは・・いつ以来だろうか
思えばヒルトと出会い、旅を始めてからこんな時はほとんどなかったか・・)

心の中でヒルトと出会った時以来の思い出を振り返っていた

この流れる汗は、クライヴの心臓が普段以上に激しく鼓動し
血流の流れが激しくなり、中で闇も疼いている感覚が伝わっているからだった

ヒルト達との旅の思い出を思い起こしていても
その汗は止まらず、次第にイラつきが勝っていく
闇堕ちは負の感情が常人より激しく、怒りや悲しみ、憎しみという感情を持ちやすい
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