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IN DREAM2

第6章 天族


「そう
じゃあ、あたし達も遺跡へ向かいましょうか
あの方へ挨拶が必要だしね」
「ええ、ここの状況が他の者たちにバレるのも
時間の問題でしょう」

トレイタスとアルトリアは次元の歪みの中にはいって行くとき
副士官の男は震えた声でアルトリアを呼び止めた
それはアルトリアの瞳の色に心当たりあったからだ

「アルトリア士官!
君は・・い、いつからそうなっていたんだ⁈」
「あら、気づいたのね
あなたにしては鋭いじゃない」

クスクス笑いながら、アルトリアは小馬鹿にしたような話し方で答えた
「ずっと前からよ
はるか昔からね・・・ーーーー
天族で調べものするには、この瞳の色を隠すために幻術を自分にかけて色を誤魔化してたのよ
そうでもしないと、あたしが堕天使だってばれちゃうでしょ?」
「わ、我々を・・だ、騙していたのか
君とは何百年の付き合いだ
私と出会った頃からもう⁈」
「ちょっとやめてほしいわ、副士官
その言い方、まるであたしとあなたが特別な仲のような言い方じゃない、気持ち悪い。
でもそうね、あなたが始めてあたしに声をかけた時に見ていた姿は
偽物ね」

アルトリアの偽りという言葉に、副士官は血の気が引いた顔で
尻餅をつき、その場から動かなくなった
アルトリアは副士官に一言も声をかけることなく
そのままトレイタスと次元の彼方に消えていった

殺された天軍の肉塊と飛び散った血だけ残された教会に
静寂だけが流れた

遠くから次元の歪みに反応した天軍の別働隊が向かってきているのを感じる
この場にいては、自分が全ての黒幕と疑われる
事情説明しても、恐らく無意味だろう
天軍に囚われる事を待っていた副士官は
教会の天井絵を見るため、そのまま見上げた

だがその視界に入ってきたのは
鮮やかな天井絵ではなく、黒いトンガリ帽子を被り、長髪を片手で止めてこちらの様子を伺っている少女の姿をした魔女だった

「!?」

なんの気配もなく突然現れた魔女に
副士官は心臓が止まる思いで立ち上がる

「なんだ、生きてたんだ
動かないから、息したままトレにぃに心臓抜かれたんだと思ったよ」
「ト、トレにぃ?」

副士官のおびえた表情を見た魔女はニッコリした笑顔で微笑み返した

「うん、アルトリアさんと一緒にいたでしょ?
金髪の龍族のお兄さん
あの人だよ、トレイタス・R・ラゾーラ・・あたしはトレにぃって呼んでるんだ」
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