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IN DREAM2

第5章 水と火


「生命を支えし水よーーーー
竜を討ち亡ぼす力を我に与えたまえ」

小さな球体の水はアランの声に従い
細い糸状のままゼルペウスの周りにまとわりつき
そのまま巨大な球体へ水は姿を変えた

「ごぼっ!」

全身を水で覆われたことで息ができなくなり
もがき苦しむ

「今よ、ジェイク!」

アランの掛け声に答え応じるように
ジェイクは勢いよく飛び上がり、ゼルペウスの腹部に強い打撃を打つ

両手に装着された炎を纏う籠手は通常のモンクが放つ打撃力とは
比べ物にならないほどの力を放つ
更にインドリームの能力、炎の力を宿しているため
ゼルペウスの腹部は灼熱な炎に皮膚が焼かれていく
もがき苦しむが、水で頭部を覆われているため息もできない

完全に身動きを封じたアランとジェイクはとどめをさすために
同時に攻撃を仕掛けた

アランは曲線を描いた双剣を両手に握りしめ、頭部へ目掛けて攻撃
ジェイクは炎を纏った籠手で溶けていく腹部を貫くほどの攻撃をーーーー

息が合うその攻撃は一瞬たりともズレることなく、ゼルペウスに同時に命中した

強力な攻撃に耐えきれず、その場に倒れるゼルペウス




「やったな」
「そうね・・」

武器を収め、少し安堵するジェイク
だがアランはまだ納得いく表情ではなかった



「アランさん!
ジェイクさん!」

静まり返る空間に響いたのは、ユリエフの声だった
反応するアランとジェイクはユリエフの方へ見るが
目を向ける場所はそこではない
そんな事を伝えるように、ユリエフは指を指し、叫んだ

「後ろです!」
「?!」

アランとジェイクが振り向いた背後には
燃えながら頭部を失ったゼルペウスの身体だけが立ち上がり
焦げた腕を振りかざし、二人に直撃しようとしていた
遅かった、いや、あまかったーーー
このままでは防ぎきれない
目を見開き振り下ろされる腕をただ見上げているアランを傍らに
ジェイクは咄嗟の判断でアランを覆うように抱き寄せ、盾になるように身を呈して守った

「風よ、祓いたまえ」
「!」

腕がジェイクに当たる前に暴風が吹き荒れ、焦げた腕を砂のように軽々しく散らした
目にも止まらない出来事に、ジェイクとアランは驚く
だが、その風の正体は何かすぐにわかった
風はヒルトの元に集い、更に強力な力を得てゼルペウスの肢体へ襲いかかる
風は肢体に残った僅かな魔力をも削り去っていく

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