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IN DREAM2

第5章 水と火


何も言い返せないアランは、拳を握って、嚙み締めた

ゼルペウスはしばらく沈黙した空気の中
黙って薬瓶をあけ、赤い液体を一気に飲み干した

「はぁー・・・―――――――」

空になった瓶を投げ捨て、そのまま踏みつけた

「これで満足か・・魔女。」

ゼルペウスの血管が少しづつ膨れ上がり
確実に効果が発揮されていく光景を眺めながら
ルキュリアは満足そうに答え、ゼルペウスの頭をなでてそのまま闇の中に姿を消した


その場に残されたのは、催眠術がかかった兵士と
傷を癒しながら構えるヒルト、アラン、ジェイク、ユリエフ
そして、異形へと姿をかえていくゼルペウスだった



「―――インドリーム諸君
こんな俺の・・最後の夢を、かなえてくれないか」
「!」
「身勝手で迷惑をかけているのは承知だ
だが・・・きっとこのままだと俺は暴走し、集落を含めた多くの命を奪いながら狂っていくだろう・・・」

血管が八蹴れるほど膨れ上がるゼルペウスの体は
すでに限界まできていた

背中からは竜特有の翼が生え、二足歩行は四足歩行へ変わっていきながら
それでも話し続けた

「おれが・・確実に暴走を・・・する前に・・殺してくれ・・・!」

「ゼルペウス・・」
「ハハ・・身勝手すぎるな、おれは・・・
でも・・・なかまを・・たすける・・ためならぁぁあああ゛あ゛
お゛でばぁぁぁ!」



確実に言葉を発することさえ難しくなっている状態
迷っている暇などなかった

すぐに対応しなければ

アランは両手に曲線をえがいた剣を取り出し、水を被った状態で構えた

「身勝手よ、本当に。
けど、あなたの言う通り、あたしは何も守れなかった・・・」
「アラン―――ー」

「ジェイク、手伝って。
あたしがうけた依頼だけど、最後まで終わらす必要があるわ」
アランの隣に、炎をまとったジェイクは篭手を装着したまま
静かに構えた
「当たり前のこというなよ、アラン
あいつを、助けてやろうぜ」

「ええ・・・
今度こそ、救って見せるわ
・・・行くわよ!」

巨大な球体の水を頭上に浮かびあがらせ、一気にゼルペウスにめがけて投げ飛ばした


緑の鱗は固く、すでに半分竜の姿へ変貌しているゼルペウスには
まったく効かず、水は弾ける
だが、アランは右手の人差し指で器用に操作し
弾けた水の球を地面に落とすことなく空中に浮かばせ、細い糸のように形を変えた
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