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IN DREAM2

第5章 水と火


ルキュリアの声に、さきまで抜け殻のように動かなかったゼルペウスの尻尾は反応し、上下に叩き付けるように動かす

それはリザードマンの中で、ストレスや苛立ち、または不安を感じている瞬間に出す動き

これ以上は何も見たくない
知りたくもなかった

真っすぐに前をみていたゼルペウスの心は
目の前で串刺しになった子供を食べられている光景を見せられただけで折れていたのだ


「子供にはないけど、大人になれば毒をためる器官が発達して
敵から身を守る為に使うっていうよね~」

「な・・にが・・いいたいんだ・・・」
かすれた声で聞き返すゼルペウス


「リザードマンの中でおいしい順番は決まってるんだよ
三番目は筋肉質のオスの肉
二番目は毒の器官がはったつしてない子ども肉
そして一番目は――――」


ドスッ


「っ?!」

目の前に置かれた緑色で赤い血を流した長いソレは、斬られたばかりのせいか
神経が通っており、生きているようにビクビクと動いていた

「あぁぁ・・あああああっ」

「一番目は尻尾を切り落としてすぐに処理をした
メスの生肉だよ」


「おまえええええぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

怒り狂ったように叫ぶアランとヒルト

息があったように武器を取り出し、ルキュリアに向かって水と風の技を繰り広げた


「おばかちゃん」

双方からの攻撃に、青い魔方陣を描き、同時に攻撃を防ぐルキュリア
「?!」
「君たちが戦うのは、今じゃないよ」

魔術印がヒルトとアランの体を拘束し、空中で身動きがとれなくなり
ルキュリアは人差し指二人の額に当てる


その瞬間、何十倍の圧力がヒルトとアランの全身に襲い
一瞬にいて元いた場所の近くの壁に叩き付けられる

「あっ・・がは!」

頭をうったアランは意識が朦朧とし、胸部を殴打したヒルトは
衝撃に吐血した


すぐにユリエフがかけつけ、二人を同時に癒す
ジェイクはあまりにも差がある魔女にむかって
篭手を両手にはめ、構えるしかできなかった


「ユリエフ・・回復にどれだけ時間がかかる?」

「この状況だと・・3分はいただきたいです」

3分―――ー
それだけ魔女と戦い、ヒルトとアランの回復まで時間を稼ぐ必要があった

二人を一瞬にして吹き飛ばした化け物を相手に
ジェイクは敵うはずがないとわかっていても、戦うことから背けれなかった



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