第2章 風を司る者
クライヴは少し呆れた表情でため息をつき
右手に闇の風を作り出す
「これはっ・・!」
「俺は闇を操る能力者。
闇は風や雷といった自然に発生する五大元素ではなく、人工的に発生させ、唯一、この世の万物に侵食できる特異元素だ。」
「闇を操る事ができるなんて、驚きました。
では今、空気の中の元素を闇で染め上げ、人工的に風を作り出し、どうするつもりですか?」
「闇の風をこの街の周囲に巡らせ、辺りに罠がないか、魔族の巣穴の正式な位置、あの天使が言っていた目印がどんなものか、俺がコレで偵察する」
「そんな事ができるなんて、クライヴ君
貴方は一体何者なのですか?」
ユリエフの問いにクライヴは答える事なく
闇の風を吹き荒らし、偵察を始めた
「・・・ーーーーー。」
「クライヴ、どうだ?」
「・・特別な罠はないが、この魔族達は二手に分かれている。
餌を回収する下級魔族と、それを支持する大元とな」
「大元の魔族は中級クラスか?」
「恐らくはな。
下級魔族は大元の能力で作られた使い魔であり、俺たちが倒すべき魔族は洞窟の奥に住み着いている本体のみとなる」
「よし、わかった!
ありがとうな、クライヴ」
クライヴの肩をたたき、ヒルトは風を発生させ、自分を中心にユリエフとクライヴを風で包み、ゆっくりと空中にあげ、風の球体を作り上げた