第3章 王馬くんに風邪をうつされたみたいです
浅い眠りの中で、夢を見た。
もっと幼い私と、人間になったキーボが一緒に登下校する夢。
彼は私を嘘つきとは言わず、ただただ優しく、最後まで遮ることなく、私の研究の話を聞いてくれた。
「ロボットが出来たら、ボクに一番最初に見せてくださいね」
約束ですよ、と小指を差し出してくる彼。
私は指切りをしながら、キーボの顔に、だれか知らない人の顔が重なっていることに気づいた。
王馬によく似たその人は、王馬ではなくて
誰かもわからない彼の笑顔を見て
ただ
うっすらと私の目に涙が滲んだ
悲しくもないのに、なぜか涙が溢れて止まらなかった