第2章 1-aでは愛してるよゲームが流行ってるみたいです
「……恥ずかしいんだ」
「そんなわけないでしょ?」
「うわぁっ!」
いつから僕たちの後をつけていたのか、どこからか王馬くんの声が聞こえた。
驚いて飛び退いた僕の背後から現れた王馬くんを見て、逢坂さんはのんきに、こんにちは、と挨拶をした。
「やっほー逢坂ちゃん!最原ちゃん、変な詮索はやめてよねー、恥ずかしいからなんて理由でやりたくないわけないじゃん」
「じゃあどうして?」
「逢坂ちゃんの照れてる姿を他の奴らに見せるわけないでしょ?」
勝つのはオレだからさ!と王馬くんは自信満々に言ってみせた。
「…そんな理由?」
「そうだよ!」
「…それだけ?」
「それだけって失礼しちゃうなー。十分な理由だと思うけど」
「………」
なんとも言えない。
わかるような気も、わからないような気もする。
でもやたらと王馬くんが抗議してくるので、僕はとりあえず「ごめん」と謝ることにした。
『王馬』
「なに?」
『愛してるよ』
逢坂さんが悪意100%の不意打ちをする。
僕と天海くん、王馬くんは目を丸くして、彼女を見ていたけど。
僕と天海くんは、急に無言になった王馬くんの表情をじっと覗いた。
「………………………………」