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出演者達に休息を「番外編」

第2章 1-aでは愛してるよゲームが流行ってるみたいです




大丈夫だ、やってやる。
あいしてる、そんなのただの言葉の羅列で、なんの意味もない。
だって相手は、逢坂さんじゃなくて、王馬くんなんだから。


「あ、いしてる」


(………しまった)


言う直前に逢坂さんのことを考えてしまったせいで、変なイントネーションになった。


「もう一回」


王馬くんは机に肘をついて、立ち膝をした。
僕を見つめたまま、彼はなんのためらいもなく催促してくる。


「あいしてる」
「もう一回」
「…あいしてる!」
「もう一回」
「……っ…愛してる!」
「もう一回」
「………………。」
「どうしたの?最原ちゃん。最原ちゃんの番だよ?ほら、頑張って。もう一回」
「………………っ」


なんて、恥ずかしいゲームなんだ。


「はい、真っ赤になったから最原ちゃんの負けね」
「〜〜っ……!」
「真っ赤な最原くん、かわいい…!」
「…赤松さん、見ないで…」
「ビスケットの一枚くらいくれたっていいじゃん。なんでそんなにムキになるの?いくら自分が食べたいからって最原ちゃんがオレを相手にするなんて珍しいよね!そのビスケット、何か手放したくない特別な理由でもあるのかなー」
「……っ」
「ちなみに最原くん、愛してるよゲームって相手を笑わせても勝ちだから、そんなに真剣に言い続けずにウケ狙いでも大丈夫なんだよ?」
「……色々ルールを知らなさすぎるよ……」


ごめんごめん、と謝ってくる赤松さん。
王馬くんは僕の手からビスケットの袋を抜き取り、3枚あるうちの1枚をサクサクと平らげた。


「ご馳走さま!あんまり美味しくなかったから、残りは最原ちゃんにあげるよ!」
「ちょっと、人のもの勝手に食べといて…!」
「まぁまぁ最原くん、美味しくないって言うのは王馬くんの嘘かもよ?」
「えっ?」
「さぁ、どっちだろうね?内緒だよ!」
「王馬くん、愛してるよゲーム強そうだよね。もしゲームの相手が私で、あんな真剣に最原くんから愛してるなんて言われ続けたらすぐにやけちゃうし、よだれが出ちゃうよ」
「よだれはダメじゃない?赤松ちゃん一応女子だしさ」
「一応ってひどいよ!」

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