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出演者達に休息を「番外編」

第1章 王馬くんがクッキーを作ってくれたそうです









ザク、ザク、サクサクサク








『………っーーーーかっっ……ら!!!』


口の中でクッキーが燃えている。
私が食べたのはもしかするとクッキーではなくて溶岩だったのではないか。
ありえない思考が頭の中を飛び交う。
牛乳を一気飲みし、それでは足りずに冷蔵庫の中から牛乳を紙パックのまま飲み続ける。
テーブルの方から呆れたような「狛枝…お前…」という左右田先輩の声が聞こえた。


「にしし!逢坂ちゃんの負けだねー!3枚目でアウトだったから、オレの口にキスしてよ!」
「え、そんな条件だったの?さっきと言ってることが違うよね」
「あれー、そうだっけ。逢坂ちゃん、大丈夫ー?あっはっは!顔真っ赤だー!」
『……』


私の顔を見て爆笑している王馬くんに抗議する狛枝先輩を、涙目で睨みつける。
口にパンパンに牛乳を含み、話せない私を見て、狛枝先輩が口を閉じた。


「ごめんね、逢坂さん。ちょっと見てみたくなっちゃって」
『………』
「それにしても、やってることは左右田クンと変わらないはずなのになんなんだろうね」


可愛すぎるよ!と狛枝先輩が恍惚とした表情で叫んだ。
震えている自分の身体を押さえ込むように腕組みをした狛枝先輩は、どう見ても不審者レベルで危ない。


『…狛枝先輩……許しませんから……』
「あぁっ、ごめんね!でも王馬クンが言うことももっともだなって…ボクは逢坂さんと学年が違うから、体育とかで身体が火照ってる逢坂さんを目にする機会は全く無いし、体育祭があるじゃないかっていう反論も考えはしたけど、常に省エネスタイルの逢坂さんが汗をかくような競技に参加する可能性もほぼ無いなって論破しちゃって、ボクはそれ以外に自分の欲望を止める術を知らなかったんだよ!でも正直王馬クンの誘いに乗って良かったと思ってる、こんな…っこんな逢坂さんの姿を見られるなんて!」
「狛枝、お前今引くほど気持ち悪いぞ」
「逢坂さん可愛い…っまるでエサを頬に詰め込めるだけ詰め込んだ小動物みたいだ!」
「さっきそれで噴き出したヤツのセリフとは思えねーよ…結局逢坂ならなんでも良いんじゃねェか!」
「え?良いに決まってるよ。だって逢坂さんなんだよ?」
「だっての意味がわかんねーよ!」

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