第1章 YOURNAME【明智光秀】 【R18】
―……
その日から政秀さんはだいたい2週間に1度のペースで、私を指名した。
もちろんすごく忙しい方なのは初回の感じでわかっていたから、指名にはばらつきはあるけれど。
でも時間は絶対に12時間。これだけはなぜか決まっていた。
「いつもありがとうございます。12時間のコースなので432,000円頂戴いたします。
1,2,3,……44万円お預かりいたしましたので、8,000円お返しいたします。」
でも、やっぱり政秀さんは“変わっている”と思う。
だって何度会っても、日付が変わるくらいまで、特に会話もなくお互いに自分が好きなこと(光秀さんは仕事、私はその向かいで勉強)をして、そのあと別々にシャワーを浴びて、そのあとセミダブルベッドでお互い下着姿で“添い寝”するだけなのだから。
嫌ってことはない。むしろ、お金を払ってでも政秀さんに添い寝したい人なんて山ほどいると思うぐらい政秀さんはかっこいい。
それこそ政宗とどっちがかっこいいかな……って悩むぐらい。
でも、これだけの大金をいただいておいて本当に何もしなくていいのか(1回誘導しようとしたら“疲れている”と一蹴されてしまった。それならなんで指名したんだろう……)、であれば私に一体何を求めているのか、全くわからなかった。
でも、少しずつではあるかもしれないけど政秀さんとは仲良くなれているような気がする(あくまで気がするだけど)。
「政秀さん、いつもエナジードリンク飲みながらお仕事なさってるんで、今日は差し入れ持ってきましたよ。」
「ほう、自分の勉強ばかりしていて人のことは無関心かとおもいきや、意外と気が利くんだな。」
「えっ!……」
「ククッ……冗談だ。ありがたくいただこう。」
相変わらず“意地悪”は健在だけど、ちょっと前差し入れをしたら思いのほか快く受け取ってくれた。