第1章 YOURNAME【明智光秀】 【R18】
シャワーを浴びてベッドルームに向かうと、桔梗はベッドの隅に腰かけて大人しく、でもなんだか落ち着かない雰囲気を出して待っていた。
「なんだ、先に布団に入っていてもよかったんだぞ……」
「えっ!さすがに家の主より先にベッドに入るのはなんか失礼かなと思って……。
あとこういうときってどういう格好だったらよかったのかもよくわからなくて……。」
戸惑った様子で自分に教えを乞う桔梗の姿を見ると、少し悪戯心が沸く。
「……それなら正しい立ち居振る舞いを教えよう。
ベッドに全裸で寝そべって“政秀さん、私を犯してください”とでも誘惑してもらおうか。」
「えっ!」
ほんの意地悪のつもりだったが、しばらくたつと桔梗は顔を真っ赤に染めながら、本当に自分が着ていた服のボタンに手をかけて服を脱いでいこうとする。
ああ、今分かった。
自分もそれなりに今まで経験はある。調査のために駆け引きで女を抱いたこともある。
だが桔梗は、この仕事には向かないほど、正直で、素直で……誠実すぎるのだ。
政宗が桔梗のそこを気に入ったかどうかは分からないが、そういう女は嫌いじゃない。
「ククッ……本当に脱ごうとするとはな。冗談だ。」
「えっ!?……意地悪です……」
ふう、と一息つく桔梗を見ながらベッドに潜って隣を空ける。
「 ……だが下着までは脱げ。抱き枕代わりにさせてもらう……おいで。」
ベッドに入って桔梗に自分の隣に来るように促すと「失礼します」といいながら桔梗はちょこんと入ってくる。
なんだか、女というよりは小動物みたいだな……
腕枕をしながら髪を撫でているうちに桔梗も自分も眠りに落ちてしまったが、心なしかいつもよりもよく眠れたような気がした。