第5章 ⇒OURNAME(後)【明智光秀】【R18】
「俺は意外と、マジだと思うがな。」
光秀がオフィスを出ていった直後、そうこぼしたのは政宗だった。
「はあ?政宗、お前まで何言ってるんだ。
あいつに限って結婚なんてありえないだろ。
あそこまで人に興味がないやつほかにあるか……。」
「いや、わかんねえだろ。
秘密裏に愛を育んでる可能性もゼロじゃねえ。
……なあ?」
そう言って政宗は自分の隣に座っているギャルに同意を求めるタイミングで人目もはばからずキスをする。
「んっ!ちょっ……!もうばかっ」
「政宗、お前ここはオフィスだぞ!」
「……自分の女にキスして何が悪い?
お前もそう照れるな。いつもしてるだろ?
さ、俺らも行くぞ。今日訪問するメーカーは遠いからな。」
全く悪びれる様子もなく手をひらひらさせながら彼女を連れてオフィスから出ていく政宗の口角は心なしか上がっていた。
「はぁ……ほんっと、あんたも光秀さんも政宗さんもそろいにそろってうるさいね。
気が散るったらありゃしない。」
光秀も政宗たちもオフィスを出ていった後、
それまで全く光秀たちの会話に関心を寄せる様子もなく黙々と手を動かしていた家康が、画面から目を逸らすことなく呟く声がぽつんと響いた。
「秀吉さん、あんたもしかして、”嫉妬”してます?」
「は?そんなわけあるか。」
「自分より圧倒的にチャラい政宗さんに先越されるだけならまだしも、
自分のほうがモテてるって思ったのに光秀さんにも先越されたから焦ってるってとこでしょ?
……誰にでもいい顔すんの、そろそろやめたらどうですか?」
―ピンポーン
家康の言葉が終わるとほぼ同時に会社のインターホンが鳴る。
秀吉宛ての来客が訪問してきたようだ。
来客に救われたのか邪魔されたのかは定かではないが、秀吉は返す言葉もなく来客に対応するための準備を始めた。