第5章 ⇒OURNAME(後)【明智光秀】【R18】
「はあああ?」
平日のある日、SengokuAgentのオフィスには、今まで聞いたことがない秀吉の声が響き渡っていた。
⇒OURNAME(後)
「光秀。有休をとるのは全く問題ないし、お前の働きには社長も大変感謝しておられる。
だが、有休の理由に"誰がどう聞いてもわかる嘘"をつくのはどうなんだ。」
「有休は本来理由を問わずとも許可されている労働者の権利だ。嘘かどうかなどどうでもいいだろう。」
「嘘をつくなんて会社に対する、いや信長様に対する忠誠心はあるのか!
そもそも“入籍”なんてお前に限って信用できるか。」
「やれやれ、お前の頭の固さには困ったものだな、秀吉。」
時期は盆明け9月某日。
盆に梨沙の家に卒業式の写真を渡すのと一緒に結婚の報告をすると、梨沙のご家族は快く受け入れてくれた。
梨沙も社会人になって半年、語学学校や俺の紹介した通訳との両立にも最近は慣れてきたようなので、初めてに梨沙会った10月に入籍をしようという算段だったが……。
ここまで信用されないのも呆れを通り越して笑えてしまうな。
「さ、俺はもう行くぞ。報告すべきことはすべてしたからな。」
「待て、本当の理由を教えろ。っておい、光秀!」
嘘も何も、これは真実なのだからお前の期待には答えてやれないな。
困惑する秀吉の様子を見るとついつい面白くなってしまって、特に説得する必要もないだろうと客先に向かった。