第4章 ⇒OURNAME(前)【明智光秀】【R18】
そして時は経ち卒業式の早朝……
「式の前に見せたいものがある。この場所で待っていろ。」
1週間前に光秀さんにこう言われたので、私は式に着ていくつもりの藤色のドレスを着て、“とある場所”で光秀さんを待っていた。
夏の帰省から東京に戻って、袴を予約しなくちゃとは思っていたが、帰省から戻ってから今日までの期間、予想よりも自分の予定が忙しく、袴を見に行く余裕が本当になかった。
国立の大学で学費が安く、しかも奨学金をいただいているとはいえども家賃や生活費は自分でやりくりしなければいけない。
また、就活の交通費やスーツ代、交通費などでカフェのバイトの貯金を切り崩してしまったので、その分を補填するためにもバイトを必然的に多く入れなければいけなかった。
さらに、卒論や内定先からの呼び出しなどもあったので、結局この半年1日まるまる空いているということは両手に収まるくらいしかなかったのだ。