第3章 PRISONER 【上杉謙信】 【R20】
両親が再婚して、母に私が連れられて初めてお兄様に会ったときから、私にとってお兄様は“高嶺の花”だった。
女性顔負けに美しくて、おまけに勉強でも運動でもなにをやってもパーフェクトで両親や先生・周囲から褒められるお兄様は、勉強も運動もそこそこの私が“お兄ちゃん”なんて気安く呼べる存在じゃなかった。
お父さんやお母さんには親しく接したけどお兄様には冷たくなってしまったのも、どうやって接したらいいかわからなかったから。
本当はもっと話したかったのに、でも素直になれなくてずっと距離を置きっぱなしだったの。
でも、なぜかはわからないけど、今、お兄様は私のことだけを見てくれる。
社員の方にも使用人も、そのほかの人にも全く見せない重すぎる愛情も、懇願するような表情も私だけに向けてくれる。
この感情が快感ではなかったらなんというの?
「お兄様……お兄様ぁ……私もお兄様のこと……愛してるの」
だから……この表情が見られたときは、素直になってあげる。
そして、それ以外のときは……いつでもこの表情が見られるように、安心させてあげない。
私から“愛してる”という言葉を聞いたお兄様は耐えきれないといったように私にキスをする。
「本当か?……俺から離れてくれるな……梨沙……お前がいなければ俺は何もできない」
「ほんとだよ……私……お兄様じゃなきゃ……こんなことしないもん……」
そう……お兄様以外なんて……考えたこともない。
「あっ………お兄様いっちゃ……もうだめいっちゃうのお」
「梨沙……梨沙……っっ」
「お兄様……お兄様ぁ、いくっ……愛してるっ」
“愛しているのはほんとだよ”というようにお兄様に自分からキスをしてお兄様の背中にぎゅっと手を回しながら私は今日最後の絶頂を迎えて、そのまま意識を手放した。