第3章 PRISONER 【上杉謙信】 【R20】
ー……
使用人たちがこの浴室を使うことはないので、2人暮らしにしては広すぎる浴室。
ジャグジーが当然のようについた浴槽に、十分すぎる広さの洗い場。
そして片側の壁面には壁の大部分を覆い尽くしている鏡。
「俺が身体を洗っている間、髪と顔を洗っていろ」とお兄様にいわれてその通りにしている間にも、鏡に映るお兄様の身体が気になってしまう。
色あせた金髪に色違いの目、美白で華奢。
そんな印象の強いお兄様だけど、その身体はギリシア彫刻のよう鍛えられている。
忙しい合間でも毎日必ずジムでハードなトレーニングをしてるだけあって、どこにも無駄な肉はついてないし……。
言いたい不満は山ほどあるはずなのに、シャワーを浴びる姿についつい見とれてしまっていると、目があった。
「終わったのか?……それでは今日無数の男の前に晒されたお前の身体を隅々まで俺が洗ってやろう……そこに立て。」
指定されたのは鏡の前。そこに立つと私の全身があますところなく映される。
自分ではもうちょっと大きくなりたいなと思うバストも、首筋から下腹部までの無数の跡も、“悪い虫に仮に付かれても、そう簡単に晒さないように”と永久脱毛を施されている恥ずかしい部分も……。
「痕が薄くなってきているな……後で付け直してやろう。」
「せめて見えな……ああっ!……」
『せめて見えないところにつけて』というのを予測していたかのようなタイミングで、“抵抗はさせない”とばかりに男性らしく骨ばっているけれど長くてしなやかな指が身体を滑る。
うなじから鎖骨、手の指先から脇、脚の指先からふくらはぎというように手は徐々に私の身体の中心に近づいていった。