第3章 PRISONER 【上杉謙信】 【R20】
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梨沙が帰ってくるのを玄関で待ち構えてしばらくすると、屋敷の外から聞き慣れたエンジン音がする。
俺の指示通り、使用人は梨沙を連れ戻してきたようだ。
じきに屋敷の重い玄関の扉が開き、「ただいま」という気落ちした声とともに、梨沙は姿を現した。
タンクトップの上に透けるトップス、スカートの丈はミニ……だと……?
衣服の材質を見ればそれがダンスの衣装だということぐらいすぐにわかる。
しかし、無防備にその二の腕や脚を不特定多数の男に見せたのか……と思うと一気に呼吸が苦しくなった。
「なんという格好をしている……梨沙」
衝動を抑えきれず、ハイヒールを脱いで俺の目の前に立って何かを言おうとする梨沙を壁まで追い詰め、逃げられないように壁に自らの腕を付く。
「ひっ……ひどい!ひどいよお兄様……。
私今日のために毎日みんなと練習してきたのにっ!
お兄様にも“今日はイベントだから遅くなる”って3回ぐらい報告したじゃない!
それなのに、なんで?……なんでこんなことするの……」