第3章 PRISONER 【上杉謙信】 【R20】
幼いころはみんなが言うような“理想のお兄様”だった。
兄妹といえども連れ子だったし、歳も離れていたから私にとってお兄様は、“一緒に住んでいるはずなのに雲の上のような存在”だったんだから……。
でも2年前、お父様が他界して、“両親”の存在が消えてしまったその日から、お兄様は壊れていった。もしかしたら元々壊れていたのかも……。
「お前のため」という言葉を盾にお兄様はどんどん私の自由を搾取していった。
門限は大学生なのに19:00だし
LINE・メール・スカイプ・Facebookのやりとりは毎日見せなきゃいけない。しかも家では使っちゃダメ。
露出の多い服装(具体的にはオフショルダーとかミニスカ)はNGだし
もう20歳は過ぎているのに“トラブルに巻き込まれる可能性がある”という理由でお酒のある場所には立ち入り禁止
そして……
19:50 白金
「ただいま……」
使用人も絶対に口外を禁じられているこれからの行為も……
ー私はお兄様に「囚われて」いる。