第1章 YOURNAME【明智光秀】 【R18】
―……
≪ほう……やはり似ているな。≫
自分が昨日指名した“桔梗”を玄関先で見たとき真っ先にこう思った。
これだけ似ているなら、政宗が気に入って、ひどいときには週2回指名していたというのも納得できる。
ただ、俺がこの女を指名した理由は単純に"政宗が気に入った女を見たかったから"ではない。
遊びとはいえど、女泣かせの呼び声高いあの政宗を“振った”この女に興味を持ったからだ。
「初めまして明智様。桔梗と申します。
明智様を満足させられるよう精いっぱい頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
律儀に挨拶をする桔梗をみて、俺はある“意地悪”を思いついた。
「俺のことは“政秀”とでも呼んでもらおうか。嬢のお前に下の名を教える必要もなかろう。」
「かしこまりました。政秀さん……ですね。」
さすがプロだな、ポーカーフェイスを貫こうをするのは褒めてやろう。
ただし、お前はまだ若いようだ。その目には戸惑いがはっきり浮かんでいるぞ。
まあそれはそうだろうな、自分が振った相手を思い出させるような名前を俺はあえて名乗っているのだから。
「政秀さん、シャワーを浴びられますか?」
「……後で浴びるから先に浴びておけ。俺はこの仕事を片付けてから浴びよう。
もしお前が上がったときにまだ俺が仕事をしていたら、向かいの席で好きなことをしていろ。
ソシャゲでも、友人とのLINEでも何でも構わん。」
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて先に浴びさせていただきますね。」
……一見するとあいつに似ている以外は、“そつなく業務をこなすプロ”だが、政宗はこの女のどこをそこまで気に入ったのだろうな。