第2章 St.Valentine SS 【政宗・光秀・謙信】
―……
「こんばんは、お忙しいのに時間作っていただいてありがとうございます。」
「そうだな、今日は年で指折りに稼げる日だったから、調査1件分に相当する50万を申し受けようか……」
そっか、今日はバレンタインだから浮気とか不倫の調査依頼が入る分、探偵事務所としては“かきいれどき”か。
そんなときに会いたいなんて言っちゃって、わがままだったかも……。
「……冗談だ。そんな顔をされるとさらにいじめたくなるな。」
「もう!……真剣に悩んじゃったじゃないですか……
光秀さん。今日はこれを渡したかったんです。味はわからないっていつもおっしゃってますけど……良ければ受け取っていただけますか?」
「ああ……ありがとう。」
どんなに意地悪を言ってきても結局はすごく優しい光秀さんが……私はすごく好きだ。
―……
「会いたい」と言ってきた梨沙を家にあげたからと言って何をするわけでもない。
案の定ダイニングテーブルで梨沙は大学からの課題、そして俺はPCを前に事務作業。
特段会話をするわけでもないので、室内にはパチパチというタイピング音とカリカリという筆記音、そしてたまに資料やページをめくる音が響くだけだ。
2時間ほど作業をしているとなんとなく口さみしくなったので、さきほどもらったチョコレートの包みを開ける。
中に入っていたのは……