The night dream of fairy【気象系BL
第12章 無償の愛
「そして俺は、あの日 あの時
何が起こったか
すべての真実を知った…」
光一は再び雅紀を愛おしそうに見つめた
「それからしばらくして、
雅紀があの事件の事を知り
苦しんでいることを知ってしまった。
俺は、どうしても雅紀の
笑顔が見たかった
再び笑顔が見れるのなら
何とかしてやりたいと思った。」
「光一…」
雅紀も光一を見つめる
「雅紀から復讐したいと聞かされたとき
正直不安に感じた・・。
もしかしたら、
雅紀を失うことに
なるかもって知れない。
でも、それだけは絶対に避けたかった。
だから、俺は自分の意志で
智を自分の近くに置いておく事で
雅紀が変な動きをしないか
監視していた。」
見つめあう二人に翔は
「雅紀の事を心から
愛していたんですね。」
光一は翔を見た
「ああ、こいつだけは、
絶対に守りたかったから…
俺は、この組織を引き継いだ時から
沢山の妖精を闇の世界に
引きずり込んでしまったから…
俺は、もうこの世界でしか
生きられない…
もう二度と昔には戻れない…
だからこそ、雅紀だけは
光り輝く世界で笑っていて欲しかった。」
光一は雅紀の右手の甲にキスをする
「…この手だけは
闇に染めてほしくなかった。」
雅紀の手を愛おしそうに見つめていたが
静かに下すと、雅紀の元から離れて行こうとする
そんな光一の背中に向かって翔は
「でも、光一さんは本当は雅紀と
ずっと一緒に
いたかったんじゃないですか?」
光一はピタッと立ち止まるが振り返らず
「…翔
俺は自分の罪を理解している。
だから、自分の幸せは願わない…」
「そんな事言わないで…
俺の為に…
今まで心配掛けて、ホントにごめん…
俺バカだから
全然気が付かなかった……。」
雅紀は後ろから飛びつくように
光一を抱きしめた。
「雅紀、頼む…
お前は幸せになってくれ…
もう俺は、二度とお前の前には
表れないから…」
雅紀の目からは涙か絶え間なく流れ
顔を横にぶんぶん振った。
「嫌だよ…
光一がいなきゃ…
幸せなんかにはなれないよ
もう誰も失いたくないんだ…」
雅紀は光一の頬をそっと包み込むと
その唇にそっと自分の唇を重ねた。