The night dream of fairy【気象系BL
第12章 無償の愛
俺は、人間界を離れ妖精界に帰ってきた。
別に、智に会いに行ったわけじゃなかった。
ただ、なんとなく慧との思い出がいっぱいある
人間界に居たくなかったんだ。
何気なく森を歩いていたら
海の見える丘に出た。
そこで見たのは
双子の妖精が可愛く抱きあっている姿だった。
二人を見て…
俺も慧とよく ふざけて抱きあっていたなぁ~って思った。
そのまま、ボーっと双子の様子を見ていたんだ…
「かじゅ…おいら、おなかすいたぁ~」
「さとし、リンゴあるけど食べる?」
「たべゆぅ~かじゅ、たべさせて…」
「さとし…可愛いすぎます!!!
はい、あ~ん…」
「おいちい…かじゅ、ありがとう」
会話を聞いて
はじめて、この妖精が智だと知った。
二人はその後…
幸せそうに抱き合っていた。
そして、深く唇を重ねて幸せそうに微笑んでいた。
俺は二人の姿を見ているうちに
昔の慧と重ね合わせて見ていた。
俺は・・・
俺は、智の幸せそうに微笑んでいる姿を見ているうちに
心が闇に染まっていくのを感じた。
弟は…
慧は…何の罪もないのに
智に殺されて
もう、微笑むことも
俺と抱き合うことも出来なくなった・・
なのに、智は自分の罪を知らずに、
光の中でぬくぬくと、幸せに生きている・・・
俺は長い間、慧と言う最愛な人を失い
寂しくて…
苦しんでいたのに…
智はカズちゃんと抱き合って…
幸せそうに微笑んでいる…
許せなかった。
智に 目の前で 最愛な人を失うこ事が
どんなに辛いか 思い知らせてやりたかった…
心は完全に闇に染まった。
智に、復讐してやろうとその時決めた・・・」